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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

子供たちへ

メッセージ11(前編)
更新日:2009.1.7
「豊かさの中で、失ったものって?」(前編)

お正月になると、いつも思い出す光景がある。
僕は七つの時から父の事業の成功で大阪市内の大きな家で暮らすようになったが、
物心ついてから五つ頃までの思い出の中にあるわが家は、
決して豊かではなかった。
日本中がまだ戦後の復興から立ち直れていない昭和三十年前半、
今の日本と比べるとみんな貧しく質素だった。
その中でもわが家はいっそう貧しかったように思う。
家にはお風呂もなく暖房といえば小さな炬燵だけ。
父は飯場を転々とし、少しまとまったお金ができると
一週間か二週間に一度家に戻るという生活だった。
こんなつましい暮らしの中でも、年末からお正月にかけての一大イベントは輝いていた。

近所の大人たちがいっせいに大掃除をしてと畳を上げ、窓を拭き、
ツンとする寒さの中で新年の準備をする。
父も、お正月は特別だった。
近所のおじさんたちと一緒になってドブをさらい、長屋をきれいにし、
小さなわが家でも畳を上げ、新年を迎える準備を忙しくしていた。

(次回につづく)







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