第3話前編
|
更新日:2009.8.7
第3話「気づく」(前編)
本格的な少子高齢者社会を迎え、医療および福祉のさまざまなシーンで、制度の歪みが表面化している。
「100年に1度の経済危機」。事あるごとに免罪符のように濫発する政府や経済界を見ていると、
日本は絶対に再生しないと確信する。リーマンショックに端を発した深刻な金融不況も1〜3月のGDP(国内総生産)が底打ちになると報道されているが、
本質を見誤っている。 キーワードは「15:85」の崩壊。1600年代、産業革命に成功した欧州は、世界の植民地を競って奪う大航海時代へ突入する。 南北アメリカもまだ未開の地。当時、世界人口6億人に対し、欧州人口はその約15%。 1900年代に入って世界人口は40億人。アメリカも含め、さらに豊かになった欧米先進国は、この当時、約15%の6億人。 この15:85の「豊か:貧困」の均衡が崩れ出したのは、今からたった30数年前。その仕掛け人は、中国のケ小平である。
1970年代初頭、中国は文化大革命に見切りをつけ、改革開放政策へと舵を切り、背骨は共産主義、
肉は自由経済という離れ業を使う。これを機に中国は世界の製造基地となり、ケ小平はさらに世界へ
改革開放を進め出す。 当時の世界人口は60億人。これに対し、日本も含む豊かになった国々の人口は10億人。15:85の均衡はここから 崩壊を始める。低賃金と低価格で世界に労働力と資源を爆発的に供給する中国は、豊かさを実感し始める。 これに倣えとブラジル、ロシア、インドが続き、BRICs(ブリックス)は、やがて欧米と肩を並べる世界経済の中枢へ。 そして今、気づけば世界人口は66億人に対し、BRICsを含め豊かさを実感し出した消費国が、ミニマムで30億人。 15:85が50:50。400年以上にわたる豊かな国15が、貧しい国85を搾取し発展してきた均衡が、たった40年足らずで崩壊した。 世界人口の5割が豊かさを希求し始めた今、これこそが人類史上初となるファンダメンタルの転換である。 この大きなパラダイムの変化に気づかない限り、日本の生きる道はない。
1〜3月の在庫調整が整った後、倉庫は空になるから当然、モノは一時的に作り出されるだろう。
しかし、これが底打ちなのか?今年の12月にはもっとひどい冬の時代を迎えているかもしれない。
私が法螺吹きがどうか、読者諸君は半年後を楽しみに。
※このコラムは「DRUG magazin」2009年7月号に掲載された連載を再掲載したものです。
|