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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

新しい家族へ

第5話前編
更新日:2009.10.2
第5話「住まう」前編 

誕生から成人するまでの第一の人生、社会人として働き、子育てにかける第二の人生、そして定年退職後に迎える「第三の人生」を輝き 溢れる“グッドタイム”へ――。ハンディネットワーク インターナショナル(HNI=http://www.hni.co.jp/)春山 満代表が提唱するプロ ジェクトは、自ら選択して自己完結する時代の到来を先取った試みだ。佳境に近づいた連載を通じ、薬剤師に何が託されようとしていたのか 再考してほしい。
ここで示されたエーキャット(ACAT=エイジド・ケア・アジャスタブル・チーム)構想は、薬局薬店・DgSの社会的位置づけを飛躍的に高 める可能性を内包している。


◆サービスと理念をハワイに求めた「第三の人生」の棲家◆

「Good Time Island Hawaii〜ハワイで過ごす人生最良のとき〜」とネーミングした新しいプロジェクトが、いよいよ今秋よりスタートする。 日本だけを見ていては、日本は分からない。難病をきっかけに、私自身が医療・介護サービスのお客様という立場でこの国を改めて見た時、 何かおかしいと感じた。その気づきが確信に変わったのは、23年間にわたる欧米・豪の視察を通して。

昭和23年の医療法の成立、昭和36年の国民皆保険制度の導入、昭和38年老人福祉法の制定――そして昭和58年の老人保健法と、戦後復興と経済の 成長に呼応して日本の医療・介護は目覚しい発展を遂げた。

やがてゴールドプランから施設の拡充に拍車がかかり、一方で全国の中小病院は療養型病床を中心とする事実上の老人病院化へと進む。 病院の拡充、クリニックの氾濫、そして特養・老健のさらなる新設と、高齢者を取り巻く医療・介護環境は表面上こそ整った。

ただ、何かが違う。何かが歪。それは「暮らしの彩り」。確かに病院は数だけ見れば世界一充実している。国の保険で担保される施設も、数だけは充 実している。高齢期に伴う慢性疾患から臨終まで、提供される薬剤・医療も物量だけは充実している。

しかし、生活がない。暮らしの彩りがない。人としての尊厳を守り、一生を終えるためのサービスと理念がない。アメリカの取り組み、ヨーロッパ の選択、オーストラリアの実践と、数百件を超える事例をこの目で、この身で体感してきた私にとって、それは確信につながる。 中でも「暮らし」をテーマにした時、ハワイは別格と感じるようになった。

誤解しないでほしい。ハワイのすべてが素晴らしく、日本が駄目だと決めつけているのではない。 駆け足の観光では知ることのできない本当のハワイでの暮らしは、私たち日本人に大きな示唆を与えてくれる。 欧米の高齢富裕層がなぜハワイを愛するのか、彼らはなぜハワイを「第三の人生」の棲家として選ぶのか。



(第5話後編につづく)次回10月16日(金)UP予定!





※このコラムは「DRUG magazin」2009年9月号に掲載された連載を再掲載したものです。





闇に活路あり