「全国でお年寄りの体を触ったこともない怪しいヘルパー2級がたくさん現れています。
それよりモラルが低いのは看護師かもしれません。
全国の病院から6月、12月のボーナスをもらった途端、退職する人が多いのですから。
でも最もモラルが低いのは実は医者なんです。
まあ、8割ぐらいはろくな奴がいませんね」。
こんな過激な発言を医療経営者を対象とした講演会で年間数十回としゃべっていますが、
会場はその都度大爆笑の嵐です。
病院の院長たちは、「あいつよく知っとるなあ。これは医療界しか知らない話なのに」。
「自分だけは違う」と思っているのでしょう。

今、医療界が揺れています。

安定的な運営を続けてきた社会福祉の世界も大きく揺れ始めました。
昭和23（1948）年から38(1963)年にかけて医療法、国民皆保険制度、老人福祉法が生まれ、
日本は基礎的な医療と社会福祉の基盤整備を進めてきました。
すべての国民が定額で基礎的な医療から救急救命、介護まで、
公的保険や税金で提供されるようになった今、
その一方で、医療と福祉はタダ、という変な常識がいつごろからか蔓延してきました。

（次回につづく）