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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

新しい家族へ

第8話
更新日:2007.11.29
第8話「口先だけのサービス」(後編)

「お前はアホか!」思わず怒鳴りつけました。
「どないですかというのは、何かと何かを比較して聞く言葉だろ。
生まれて初めて車椅子に乗ってどないですかと聞かれても、うんともすんとも出ない」。
すべての要介護のお年寄りと家族はそうなんです。
初めての老いなんです。初めての介護なんです。
どないもこないも、うんともすんとも出ないんですよ。

私は「お前のところでは作らん!」と大声で叫びました。
するとこの業者は書くのをやめ、「この野郎」というぶ然とした顔で私を見下ろすんです。
おそらく彼は、車椅子を使う足の不自由な中年や難病の患者から、
こういう言葉を浴びせられたことはなかったのでしょう。

私が大騒ぎをしているもんですから、看護婦やドクターが集まってきました。
「また問題の春山さんや」とみんなニヤニヤする中で
一人のドクターが「春山さん、どうかなさいましたか?」と聞くので、
「かくかくしかじか」と説明しました。
この時、業者の豹変に気が付きました。あれだけ私をぶ然とにらみ付けていた彼が、
医者が現れると真っ青になって子猫のようにおびえている。
これはマーケットじゃない、戦後の闇市だ、と思いました。

(次回につづく)







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