更新日:2007.12.13
第9話「楽しみはこれから」(前編)
福祉サービスの事業者は誰もお客様(利用者)に配慮していない。
配慮されているのはドクターなんです。
病院の事務長なんです。
そして福祉事務所の担当、役人なんです。
そこで“おべっか”を使って商品を置かせてもらおう。
いわゆる水道の蛇口をひねる人間ばかり注目して、
水道から流れる水を飲む本当のお客様にはだれも配慮しないのです。
前回お伝えした車椅子の一件があった日、私は夜眠れませんでした。
「しめた!おれは難病になってとんでもないものを無くしたかもしれないけれど、
とんでもないビジネスチャンスを発見した」と確信しました。
そしてもう一つ発見したんです。
体の不自由な人々のすべてが貧しいわけではありません。
もちろん余裕の無い生活をされてそうして介護が必要になる方々もたくさんいらっしゃいます。
そのために公的な保険や福祉サービスがあるんです。
でも、ある程度蓄えを持った高齢者が、老いと介護の現実に直面したとき、
この国には「さまざまなサービスをお客様が選ぶ」という当たり前の仕組みが無いことに気付きました。
いわば600円の日替わり定食しか用意されていないんです。
なぜ老いたら平等なのか。
多くの人々が2000円の幕の内弁当や5000円のすき焼き、
時には1万円の懐石までも求めているのに、
この国には「平等という名の不平等」がはびこっているのではないか。
自分が不自由になった経験からお客様サイドにたち、
本当に喜ばれ、誰が介護しても介護されても、
共に暮らし合っていける究極のサービス業というものを作れば必ず喜ばれ、
そして、これはビジネスになると改めて確信しました。
(次回につづく)
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