総合トップ > 春山 満について > メッセージ集
春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

壷中有天

第七十の天
更新日:2011.4.1
第七十の天「死に急ぐ若者たちへ」

「死に急ぐ若者たちへ」

僕は29歳の時に一度だけ自殺を考えたことがあります。

そのころ一日の半分は金策の奔走し、借金のための頭下げ。 もう半分は不動産をめぐる泥沼化した裁判を維持するための四苦八苦。一方で難病の進行は加速化し、全身から運動細胞膜が消え去っていきました。 追い詰められて追い詰められて、恐怖と絶望はもう限界に来ていました。

ある時、ぷつっと緊張の糸が切れて「もうだめだ、死のう」と思ったのです。
自殺を決意し、遺書を整え、妙にさっぱりとした解放感に包まれたのを今でも鮮明に覚えています。

いよいよ死んでやろうと思ったとき、不思議と恐怖はありませんでした。
ただ、「今日まで生き延びたんだから、明日もう一日、恥をかいてでも生き延びたっていい」。 そんな考えが頭をよぎった瞬間、「悔しい」「存在が消える」「無になる」「忘れられる」という、 今まで一度も経験したことのない、生への執着が僕を支配したのです。

一度は自殺しようと思った僕ですが、今から考えるとあれがラストチャンスだったのかもしれません。 今はビルのフェンスにもよじ登れず、ガスのコックすら握れず、包丁すら手に持てず、 薬も自らの手で飲めない僕にとって。

あえて死に急ぐ若者たちに伝えたい。
あたりまえの幸せのありがたさを噛み締めて生き抜くということの喜びと素晴らしさを。





僕が取り戻したGood Time 僕がみた世界のGood Time 子供たちへ 壷中有天 新しい家族へ 闇に活路あり