■　セント・パトリックのロマンとそろばん　上

ニューヨークの郊外に、セント･パトリックというナーシングホームがあります。ここは全米でも非常に人気の高いナーシングホームのひとつです。

アメリカの中流階級以上の方々を対象とした、人生の最後まで生活できるナーシングホームで、日本でいえば、特別養護老人ホームと有料老人ホームを合わせ、さらに医療を充実させたようなところと考えてください。

入居条件ははっきりしています。1ヶ月80万円。その3年間分の費用を支払える資産を持っていなければ入居は断られます。掛け算をすると約3000万円。 アメリカのナーシングホームの平均が月60万円くらいなので、やや高いともいえますが、ケアがとてもいいので入居希望者は常に列をつくっているといいます。

セント・パトリックの素晴らしいところは、施設やケアはもちろんですが、独自の財源を持っているところです。ドネーション、つまり寄付をうまく募っているのです。 寄付といっても、日本のように駅前に並んで募金を呼びかけるといった清く貧しい発想の寄付ではありません。