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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

僕がみた世界のGood Time

第三章其のニ
更新日:2011.7.22
第三章 セント・パトリックの裕福な息子 其のニ


■ セント・パトリックのロマンとそろばん 下

たとえばセント・パトリックには歴代の大統領夫人がみんな来ます。
そしてチャリティ晩餐会やチャリティのゴルフコンペが開かれます。ぼくが行ったときは、ちょうどヒラリー夫人が訪問した後で、彼女がゴルフをやっている大きな写真が掲げてありました。

セント・パトリック主催でそうしたチャリティのゴルフコンペをやると、だいたい参加者1人から200ドル集めることができるそうです。アメリカは20ドルくらいでワン・プレーできるので、1人分180ドルがドネーションに回ります。こうやって独自の財源を集めるのです。

なんのために独自の財源を集めるのかというと、まずスタッフの教育に使うのです。
サービスの質をあげるために、ものすごく教育にお金を使います。実際、紹介されたスタッフは皆とても親切で、明るい目をしてキビキビと働いていました。老人に接する態度も普通の施設の職員とはたしかに違います。

そしてもうひとつは、ちょっと驚いたのですが、その財源で基金をつくり、資金の途切れた入居者の費用に充てているというのです。

セント・パトリックでは入居時に3年分の費用が必要だといいました。しかし入居条件をクリアしても、もし3000万円しか持っていない方が3年以上生きたらどうなるのでしょうか。総資産を食いつぶすことになります。その後は公的保険であるメディケイドが適用されますが、メディケイドも6ヶ月程度しか利きません。7ヶ月以降はそれも打ち切られてしまいます。普通のナーシングホームであれば、そこで退出を迫られます。

しかしセント・パトリックは、「3年間の保障があれば、一生いても大丈夫ですよ」という制度を持っているのです。つまり総資産を食いつぶしたお年寄りのために、ドネーションで集めた財源が利用されるのです。これは非常に優れた独自のシステムで、全米で評価される理由のひとつになっているのです。

ぼくはこれを聞いて、セント・パトリックは単なる福祉施設ではない、理念とそろばん、あるいはロマンとそろばんを、しっかりと回している施設なのだと感心しました。







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