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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

僕がみた世界のGood Time

第四章其の二
更新日:2011.9.2
第四章 在宅ホスピスの真実 其の二


■ アメリカ人も自宅で死にたいと考える

ぼくが訪れたのは、テネシー州ナッシュビルにある、フレンドシップホスピスという会社でした。ここでは7人のプロフェッショナルがチームを組んで、在宅のホスピスサービスを行っています。
そのユニークな仕組みを紹介するまえに、なぜ在宅ホスピスが爆発的に伸びてきたのかという理由を簡単に説明しておきましょう。

理由は2つあります。

まずひとつに、施設型のホスピスはとてもお金がかかるという問題があります。ホスピスは最終的なケアですから、日本でも1ベッド当たりだいたい1ヶ月100万円以上かかります。人もいるし箱モノにもお金がかかる。アメリカでも医療費の高騰は大きな問題になっていて、そうなると在宅でケアしたほうが安くつくじゃないかという話になります。

もともとアメリカは保険会社が医療を管理していて、つねにお金を適正かつ有効に使うことを考えています。質を下げずにコストを削減する、いわゆるマネージドケアをしなければならない。つまり、在宅でホスピスケアをした方が経費を削減できるとなると、当然保険会社はそちら(在宅)を向きます。

もうひとつは、やはりアメリカの人々も、自宅で亡くなることを望んでいるという理由があります。たとえば何かの病気になって病院に入り、そこで人生の最期を知るとします。 すると多くの人は、やっぱり自宅に帰りたい、自宅で死にたいという希望を持つのです。 日本人は畳の上で死にたいといいますが、どこの国の人だって、みんな病院なんかで死にたいとは思っていないのです。

そしてここからが、ビジネスとして面白いところなのですが―――

まず、医師から余命6ヶ月以内という宣告を受けた患者が自宅に帰りたいという希望を出すと、その地域にあるいくつかの在宅ホスピス会社が、その患者が契約している保険会社に提案書を出します。 その患者の状況、家族構成、資産などを見ながら、エスティメイト(見積書)を出すのです。

「わたしたちは、6ヶ月間こういうケアをやって、こうやってあの世へ送ります。経費はこれだけかかります」という見積書です。それがコンペに出され、通ったところに、在宅ホスピスのサービスが発注されるのです。

ぼくはそのシステムに感動しました。そして全米中に一体どのくらいこの在宅ホスピスがあるかと思って調べたのですが、途中で断念しました。もう無数にあるのです。 そこでとにかく実態を見ようということになり、紹介してもらったのがナッシュビルのフレンドシップホスピスだったというわけです。





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