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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

僕がみた世界のGood Time

第五章其の一
更新日:2011.10.21
第五章 老いへの危機意識 其の一


自分の老いを支えるには、 最低でも7000万円が必要。
中流のアメリカ人はそう考えている。

■ 生残りをかけた危機管理

自己責任の国アメリカで、ぼくがもうひとつ驚いたのは、医療のマネジメントに関して日本では考えられないビジネスが登場していることでした。 ニュービジネスというわけではないのですが、いま最も注目されている分野のひとつで、簡単にいうと医療機関の評価テストを行なうビジネスです。

なぜそんなビジネスが注目されているのか、ぼくには不思議でした。そもそもそんな会社は日本には存在しないので、システムそのものがわからなかったのです。

ぼくが訪問したナッシュビルのDMR(データ・マネジメント・リサーチ)はその評価テストを行なっているところで、スタッフ12名のこぢんまりとした会社でした。しかし1992年の設立以来、約50万件の調査を実施している実績のある会社です。 同社で話を聞くと、そのビジネスの内容がおぼろげにわかってきました。

彼らは、その病院で本当に適切なサービスが行われているかをチェックするのです。その病院で働いている医師や従業員はどんな気持ちで働いているか、その病院を退院した患者はどういう気持ちで退院していったのか。これまで病院を経営していく上で、なかなか掴みにくかったその種の患者のデータ、医師や従業員のデータ、それに加えて患者の家族の満足度や施設自体の効率性などを、細分化して調査し、データ化しているのです。

DMRはその専門会社で、ぼくはまずその存在自体にびっくりしました。
質問内容は、大きくわけて「質向上調査」と「満足調査」の2種類があり、顧客の満足度調査と医師に対する調査の結果はいつも「見事に一致しない」とのことでした。調査事態は比較的シンプルなものですが(5択形式)、その効果は意外なほど病院の実態を明らかにしてしまうようです。

ぼくは最初、この説明を聞いたとき、ある誤解がありました。というのはこのサービスを発注してDMRのデータを買うのは、てっきり保険会社だと思っていたのです。 なぜかというと、保険会社は自分たちのお金を病院に払いますから、払ったお金が病院で適切に使われているかどうか、その詳細を確認する必要があるのです。だからこのサービスは保険会社がオーダーするものだと思ったのです。

ところが違いました。
病院自身がこのサービスを発注しているというのです。病院の経営者たちは、もっとサービスの質を上げて、医師や従業員たちのやる気を起こさせなければ、これからの生き残り戦争に勝ち残っていけないという危機意識を、非常に強く持っているというのです。そのためには、できるだけ詳細なプロフェッショナルなデータが欲しい。だから、DMRのような調査会社がビジネスとして成立しているというのです。





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