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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

僕がみた世界のGood Time

第六章其の三

更新日:2012.3.21
第六章 ヨーロッパの光と影 其の三

 
T 転換期を迎える「ゆりかごから墓場まで」

■ シェルタード・ハウスのシステム 上

 次に向かったのは、ロンドン市内北部にある国営の高齢者住宅、ヘンダーソンコートです。
ここは1966年に建てられたイギリスの高齢者住宅、いわゆるシェルタード・ハウスの先駈けともいえる施設です。 シェルタード・ハウスとは、介護が“出前”で提供されるアパートメントハウスのことで、イギリスでは30年ほど前から全国の自治体で普及し始めました。

 中庭を囲むように建てられた3階建てのアパートには、73の部屋があり、現在71名の高齢者と2名の管理人が生活しています。ヘンダーソンコートの入居基準は、65歳以上の高齢者で自立した生活ができる人、となっています。

 ここには職員がたった2人しかいません。もちろん、たった2人ですべてを管理することはできないので、不在時における入居者からの緊急コールは、近くにあるケアセンターのほうに回されるシステムになっています。ぼくから見ると、非常に“始末した”やり方だなあという気がします。

 そして重要なのは、このシェルタード・ハウスに入居するときに、アメリカと同じような資産チェックがあるということです。「ゆりかごから墓場まで」といいながら、もはやイギリスでも自己負担をシビアに求められているのです。

 ヘンダーソンコートの家賃は1週間で75ポンド(約1万3000円)、このなかには、暖房費、水道代、サービスチャージが含まれています。住宅手当を受けている人は、週につき9ポンド(約1600円)以下の家賃を支払い、差額は政府がカバーすることになっています。 問題は、その住宅手当を受けられる基準なのです。

 いまフルで住宅手当てが受けられる人の基準は、法律により資産が3000ポンド(約50万円)に満たないことが条件になっています。 つまり約50万円以上の資産を持っていると、政府の住宅手当は受けられないというわけです。


(次回につづく)



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