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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

僕がみた世界のGood Time

第六章其の十一

更新日:2012.11.21
第六章 ヨーロッパの光と影 其の十一

 
V フランスで見た老いの覚悟

■ ホテリア・パリメール・アレシア 下

 ではいったいどんな人が入居してくるのか。さっそうとした格好の中年の女性マネージャーが説明してくれました。「ここに入所してくる人は、身体になんらかの問題を抱えている人です。病気になってしまったので、短期間ここで療養したい人、または長期間ここに住む人と、大きくわけてふた通りあります。私たちの方針として、たとえ障害があっても、すべての人を受け入れ、最後まで面倒を見ることにしています」

 フランスでは昔から老人のための施設は少なかったそうです。ところが15年前くらいから、とくに民間の施設が急速に増えてきたということでした。その理由はやはり高齢化、そして核家族化が進んで子どもが親の面倒を見ることがなくなってきたことにあるようです。もともとフランスでは要介護度が高くなっても子どもに頼らずに施設に入るのがふつうで、世代間の財産の踏襲もないのがふつう。

 また老後の生活については、20年くらい前はハッピーリタイアメントとしてニースやコートダジュールで生活した後、パリなどの都市に戻ってくる傾向があったようですが、いまは文化的な娯楽が多いパリに住み続ける人が多いということです。

 このホテリア・パリメール・アレシアでは、他の施設と差別化を図るため、力を入れているものに食の充実があります。施設内には3ヶ所のレストランがあり、専門のシェフとコックが、本格的なフランス料理を提供します。メニューは日替わりで、週のはじめに1週間のメニューが入居者に知らされ、好みでないものは変更できるそうです。 「1階に2ヶ所のレストラン、2階にもうひとつレストランがありますが、そちらは介護が必要な人専用になっています。これまでの経験から、介護が必要な人と健康な人を一緒に食事させることはあまりよくないのがわかったのです」とマネージャーは説明してくれました。


(次回につづく)




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