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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

僕がみた世界のGood Time

第六章其の十六

更新日:2013.4.17
第六章 ヨーロッパの光と影 其の十六

 
W ドイツとデンマークにみる老いの逆指名

■ デンマークの血税と覚悟 

 デンマークは福祉先進国です。ぼくは世界中のいろいろな国へ仕事や視察で出かけていますが、高齢者医療・福祉・社会基盤がいちばん整っている国はどこかと訊ねられたら、迷うことなくデンマークと答えます。スウェーデンもかつては福祉大国でしたが、いまから数年前の自由化政策が失敗して、福祉制度はいま大きく揺れている状況です。

 その点、デンマークは確固たる主義を貫いています。たとえば在宅介護ならどこまでいってもタダです。施設に入ってもタダ、医療費もタダ、そしてあまり知られていないのですが、デンマークの教育はどこまでいってもタダなのです。大学院に行っても学費は無料です。もちろんデンマークではこうした老いや教育を支えるために、血の出るような税金を払っています。所得税は一律50%。累進課税ではありません。それプラス、デンマークの消費税は25%です。

 1000万円の所得があったとして、いったいいくら残るでしょうか。この血の出るようなお金を集めて、厚い福祉を実現させているのです。忘れてならないのは、デンマークの人口はたった500万人強、大阪府より小さい規模の国だということです。その小さな国が、血の出るようなお金を集めて、自助努力で老いを守っているのです。

 デンマークにはまた、 “親離れ子離れ”がヨーロッパで最も進んだ国であるという面白い特徴があります。もともと欧米では親子同居は少ないのですが、デンマークではそれが極端なのです。たとえば18歳を過ぎて子どもが両親と一緒に暮らしていると、あの家庭はおかしいんじゃないかといわれてしまうそうです。親子は離れて当たり前。そんな若いうちからの厳しい自立の環境が、デンマークの老いのシステムを維持させているのかもしれません。


(次回につづく)


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