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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

僕がみた世界のGood Time

第六章其の二十

更新日:2013.8.21
第六章 ヨーロッパの光と影 其の二十

 
X 匂いのあるナーシングホーム

■ アダーズ・ナーシングホーム 上

 ぼくが最初に訪れたのは、タスマニア州にあるアダーズ・ナーシングホームでした。福祉が充実したオーストラリアでも、タスマニア州にはとくに進んだ施設があると聞いていたからです。
そのアダーズ・ナーシングホームは1990年に建てられ、痴呆のなかでもかなり重度の痴呆患者を扱っている公立の施設でした。スーパーナーシングホームと呼ばれ、アルツハイマーの研究では世界でもトップクラスといわれています。

 入居の条件は、専門の医師に痴呆であると診断され、自分で歩くことができるという、2つだけです。ぼくが訪問したときには32人のお年寄りが入居していました。建物は8つの部屋をひとつのウイングとして、4つのウイングを十字形に配置した構造になっています。ナースステーションがその十字形の中心にありました。

 スタッフはぜんぶで60人いて、痴呆対応の訓練を受けた看護婦が昼間は8人、夜間は2人シフトにつきます。そのほかにケア・アシスタントや、ボランティア、調理担当者などがいます。運営費はすべてタスマニア州政府から出ていて、入居者は1から8までの要介護度に分類され、それに応じて支給される金額が決まっています。


(次回につづく)


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