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第一章 直感で浮かんだ新製品のアイデア

現在「バリアフリー」という言葉を聞いて、その意味が分からないという人はほとんどいないでしょう。
じつは、この言葉が日本中に広まったのは「バリアフリーベンダーマシン」という自動販売機において、創始者の春山 満が日本で初めて商品コードとして使ったことに端を発しています。

1992年の初め、大塚製薬の開発キーマンが春山のもとを訪ねてきました。
「春山さん、単刀直入に申し上げると、あなたの発想が欲しくて伺ったのですが……」と彼はいきなり切り出しました。
「病院マーケットで、次の活路を見つける戦略が欲しいのです」
当時の大塚製薬は点滴輸液では日本でトップシェアを保ち、抗ガン剤においても日本屈指の製薬メーカー。しかしながら、そのブランド力はオロナミンCやポカリスエットと比較して、製薬会社としては決して高いほうではありませんでした。そのために、新たな戦略を模索していたのです。

「医療の方面から攻めるのは難しいでしょう。攻めるなら、今注目されている介護や福祉のほうから切り込んでいくべきです」
春山がそうアドバイスすると、彼は興味津々といった体で膝を乗り出してきました。
「で、どうしたらいいんですか?」
「たとえば、自動販売機……。そう、自動販売機がいい」
それは春山が直感的に浮かんできたものでしたが、自分でも不思議なほど興奮していました。というのも、春山は常日頃、自動販売機の構造に不満を感じていたからです。

「車椅子対応の自動販売機を作ればいいんです」
春山が意気込んで言うと、彼は怪訝な顔をしていました。
「そんなものが本当に売れるのでしょうか?」

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