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第三章 情報に裏付けられたロケーション提案

新型の自動販売機ではコインの投入口、釣り銭返却口、商品セレクトボタン、取り出し口など車椅子に座ったままでも使いやすいように販売機の中央付近に集めました。コインの投入口や釣り銭返却口には、指先の機能が衰えた人に配慮して受け皿をつけ、口幅も広くとる。商品ボタンの表示も写真入りで大きくし、安全性、見やすさ、使いやすさを身体の不自由な人々の立場から十分に考えて開発しました。加えて、それらが妊婦やお年寄りが立ったままでも利用しやすいか、幾度ものテストを重ね、両者にとってもっとも使いやすい高さを設定しました。そして、もう一つのカギとなるのが、この自動販売機を健康な人が利用して違和感がないか、ということです。なぜなら、車椅子対応型自動販売機とはいっても、実際の売り上げはその何百倍、何千倍を健康な人たちから上げることになるからです。そこが欠けてしまえば、この製品の価値は半減します。この自動販売機であれば、使いづらさは全くありません。むしろ、コインの投入口や釣り銭返却口の受け皿は、多くの資料を抱えるビジネスマンや買い物帰りの主婦にとってもより使いやすいものとなっていました。

残る問題はロケーション。つまりどこに設置するかということです。ちょうどその頃、折よく地下鉄が車椅子に対応する動きを見せ始めていました。ということは、地下鉄側から見れば自動販売機は従来型のものよりも、車椅子対応型のほうがふさわしいということです。大塚製薬にとっては、従来はとれなかった新しいロケーションを獲得するチャンスでした。車椅子対応の自動販売機はメジャーな消費者にも十分使いやすく、喜ばれる機能を持ちあわせています。導入先のイメージアップにも貢献できます。これなら、地下鉄の駅でも断る理由がないはずです。言われてみると、あたり前のように思うかもしれませんが、それがHNIのマーケティング戦略なのです。

こうしてすべての課題をクリアし、バリアフリーベンダーマシンは完成しました。ところが、市場の販売拡大マニュアル作りに取り掛かろうとする段階まできていたころ、大塚製薬の作った商品説明用パンフレットのサンプルを見て、春山はプロジェクトの進行に待ったをかけたのです。

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