第1章 "弟子 宮内と師匠 春山の出会いから地獄の修行時代"

運命の出会い

序章で述べたが、師匠「春山 満」との運命的な出会いは、とある本屋であった。たまたま、手に取った本が "著者 春山 満 『生き抜く哲学』" で食い入るように読んだことを今でも覚えている。そして、この本に出会った事だけではなく、更に奇跡的な出会いがあった。
本当に偶然な事ではあるが、「春山 満」が父 宮内 義彦(現オリックス株式会社 取締役兼代表執行役員・グループCEO)の系列会社の取締役であった。
これまで何よりも父の威を借りる事を嫌っていた私だが、この時ばかりは迷うことなく父に「春山 満」との面会を頼み込み、早々に初対面の場を設けてもらう事になった。

そして、待ち望んだ初対面の場、私の心を動かせるメッセージが「春山 満」から飛び込んできた。「自分と向き合いそして人と向き合う」、「当たり前のことを愚直にやりぬく」といった、私が失いかけていたキーワードをシンプルかつ力強いメッセージで伝えてくれた。
そして、私は「春山道場」に弟子入りする事を迷わず決めたのである。
これが、"地獄の修行時代"への第一歩となるとは想像もしていなかった。

地獄の修行時代

「春山満」が取締役である系列会社に入社したものの、日常の業務を介して憧れの「春山 満」とは中々直接的な接点はないだろうと思っていた。

しかし、とんでもない。
幸か不幸か・・・それはおいといて・・・
「春山 満」が本業で代表を務める「株式会社ハンディネットワーク インターナショナル」 (別名 虎の穴)は、当時入社した会社と同じビルの上階に在った。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」 (笑)
それからというもの、まさに「春山 満」の地獄の特訓、介護という究極のサービス業とは如何なるものか、それを徹底的に叩き込まれることとなる。

さて、師匠がどういう人か!?
一言で言うと、本当に恐ろしい人。もう、まさにヤクザの親分!(笑)
もう毎日イヤというほど怒鳴られ、叱られ、本当に恐ろしかった。
車椅子を投げつけんばかりの迫力で、毎晩その姿が夢にまで出てきた。

当時、師匠は取締役という立場でありながら、従業員の前でも常に師匠自らが最前線でお客様に向き合っていた。

そして、お客様からのご意見やお叱りを全て受けとめ、必ず早急に「行動」「実践」にて応える。 けっして部下、従業員を信頼していないという訳ではなく、サービスを提供する側として一見ごく当たり前の対応を自らが行っていた。今まで医療・福祉業界において、サービスを提供しているという感覚が薄く、捻じ曲がったこの業界を変えていく事を、師匠「春山 満」が現場の先頭に立ち行っていたのです。


常識に囚われるな!

師匠「春山 満」の教えというのは、現代社会の「不用心」 「不親切」 「不勉強」 の怒りと警鐘である。

ある流行映画の中で、「事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きているんだ!!」というセリフがあるように、組織のトップにいる者が現場、最前線を知らぬケースが多々ある。
やはり、最も大切なのは現場であり、冷静に考えてみれば、お金も問題も現場にしか落ちていない。
当たり前の事を忘れてしまっている現代社会、その場を楽に凌ぎたいが故に立ち止まってしまう傾向にある。
師匠からは、
「本当の意味のサービスとはなんなのか?」
「介護業界ではなぜお客様の理論でなく、サービス提供者側の理論がまかり通っているのだろうか?」
全てを総称すると、『常識に囚われるな!』という非常に意味深い師匠の言葉に気付いた。

よく師匠はこんな言葉を念仏のように繰り返し発していた。
「お客様からお金を頂くことが罪だと思っている人がいる。ただ、この考え方はおかしい。お金を頂く事が罪ではなく、サービス業として満足を提供できない事が罪である。健全なるサービスのもとに健全なる利益を頂戴する。」

これまでこの様なポリシーが介護業界では確立されず、ボランティア精神の強かったこの業界において、「我々は究極のサービス業である」という理念のもと「春山 満」自らが現場に足を運んでスタッフの教育を行っていた。更に、サービスを受けるお客様に根付いた非常識な考え方を変えていく事にも力を入れているのである。

これは、決して介護業界だけに通じる話ではない。各業界で当たり前のように馴染んでしまった習慣がある。勿論、正しく理解し運営されているものもあるが、非常識な事が常識と化し、これに囚われている事が多い。

ここに、次のビジネスチャンスがある!
これが、地獄の修行時代に私が師匠から学んだ何よりもの財産である。

ちなみに春山道場から巣立ちする頃、
私の体重は見事に22kgほど減っていた。情熱により余分な脂肪が燃焼されたことと、余計なプライドや慢心もシェイプアップされたのでしょうね。春山道場ではなく、まさに「春山ブートキャンプ!?」であったと思っています。(笑)

to be continue・・・

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■ 宮内 修 プロフィール

アイシーズ株式会社 代表取締役

1973年3月に父 宮内 義彦(現オリックス株式会社 取締役兼代表執行役員・グループCEO)の次男として生まれる。 大学卒業後、ミズノ株式会社へ入社しゴルフ用品の
販売を主に手がける。その後、オリックス・リビング株式会社に入社し有料老人ホームの開発や営業、運営の責任者を歴任。 2008年10月に有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅を紹介するアイシーズ株式会社を設立し、代表取締役に就任する。


 

■ 春山 満 プロフィール

株式会社ハンディネットワーク インターナショナル 代表取締役

24歳より進行性筋ジストロフィーを発症。現在首から下の運動機能を全廃。1991年
ハンディネットワーク インターナショナル設立。幅広いネットワークと体験を通した独自の視点と着眼で、オリジナル商品の開発や大手医療法人・企業等のコンサルティングなど幅広く活躍。2003年、米国ビジネスウィーク誌にて『アジアの星』25人に選出。
2005年、オリックス不動産(株)と共同出資で、高齢者住宅運営会社オリックス・リビング(株)を設立。2008年、ハワイシニアライフ協会名誉理事就任。

 




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