第14章「老いという時間は余生やない、人生最良のときやで〜」
私は春山 満がプロデュースした高齢者施設「グッドタイム リビング」を運営するオリックス・リビング株式会社に以前勤務し、第一棟目となる「グッドタイム リビング神戸垂水」には立ち上げから関わっていた。「グッドタイム リビング」は、春山の単なる理想だけで出来た高齢者施設ではない。世界中の高齢者施設を20年以上(計400ヶ所以上)も見続け、日本の新しい「老い」の形を考え続けてきた。その春山の考えとは、老いという時間を老いた後「老後」というネガティブな表現ではなく、老いこそ「人生最良のとき 〜 Good Time 〜」という考え方なのだ。この時代を例えるなら、朝日のようなキラキラとした輝きや真昼の太陽のように力強くはないけれど、夕日の愛おしいこの時間を最期まで輝かせられるような時代にしたいという理念のもとグッドタイム リビングは誕生した。正に春山は老いの時間を輝かかして頂けるように、建物(ハード)だけでなく暮らしそのもの(ソフト)をお客様に提供している。
春山は日々多忙の中3ヶ月に一度は各グッドタイム リビングに足を運び、誰よりも厳しい目で見て、誰よりもお客様の言葉を聞いている。なぜ春山が直接行うのか!?それは、現場にしかこのグッドタイム リビングを日々進化させていくヒントが落ちていないからである。お客様と直接意見交換をする事で今まで私たちでは見えなかった不安や不満が山ほど出てくるのだ。どんなご要望であっても出来る限りの事はする。ただ、もちろんお客様のご要望を全て聞き入れる事はできない。その代わり、なぜ出来ないのかという事をきっちり説明する事でお客様に納得して頂く。ただ単に理想や理念を言葉で語った高齢者施設ではなく、現場スタッフと共に「人生最良のとき 〜 Good Time 〜」のブランドを作り上げているのだ。
私はオリックス・リビング株式会社を退職し3年の歳月が過ぎたが、春山 満からの学んだこと、それが今もなお私の原点となっている。それは、「何事も愚直にやること」。ちなみに、退職した会社の施設を褒めるのも変な話であるが、春山 満がつくり上げた「グッドタイム リビング」は数ある高齢者施設の中でも、特に素晴らしい理念のもと運営され、今後も進化していく施設であるということはいうまでもない。春山 満が追求する考え方がこの業界全体のスタンダードとなると切に願う。
宮内 修 プロフィール
アイシーズ株式会社 代表取締役 1973年3月に父 宮内 義彦(現オリックス株式会社 取締役兼代表執行役員・グループCEO)の次男として生まれる。 |
春山 満 プロフィール
株式会社ハンディネットワーク インターナショナル 24歳より進行性筋ジストロフィーを発症。現在首から下の運動機能を全廃。1991年ハンディネットワーク インターナショナル設立。幅広いネットワークと体験を通した独自の視点と着眼で、オリジナル商品の開発や大手医療法人・企業等のコンサルティングなど幅広く活躍。2003年、米国ビジネスウィーク誌にて『アジアの星』25人に選出。 |
ドラ息子企画 編集者 春山 哲朗
編集者 略歴 |