ベトナムの特定技能 最新情報(2021年2月現在)
2019年4月に新設された外国人労働者の在留資格「特定技能」は、それまで外国人労働者の最大の送り出し国であったベトナムへの期待が大きかったことは言うまでもありません。特に人材不足が著しい介護業界では、ベトナム人介護士の来日に大きな期待を寄せていました。しかし、フィリピン、インドネシア、カンボジア、ネパールなど既に7カ国で入国要件となる試験(介護職の場合、介護技能評価試験、介護日本語評価試験、国際交流基金日本語基礎テストの3種類)が開催されているのに対し、2021年2月現在もベトナム国内では試験が実施されていません。
昨年は3月・5月に実施されるとの話が伝わってきましたが、コロナウイルスの影響によりベトナム国内がロックダウンし、とても試験が実施される状態にはありませんでした。
しかし、2021年に入りそのベトナムの「特定技能」に関して、具体的な動きが出てきましたのでご報告いたします。
<目 次>
特定技能に関する手続きが公表
2021年1月6日に出入国在留管理庁が、ベトナム人に関する特定技能の具体的な手続きを公表しました。以下が手続き内容の要約です。
1、雇用主である介護施設や医療施設(以下、「介護施設」と言います)とベトナム政府が認定した送出機関との間で「労働者提供契約」を結ぶ。
2、送出機関が紹介したベトナム人労働者と介護施設が雇用契約を結ぶ。
3、ベトナム政府は必要な手続きを完了した特定技能外国人に対し<推薦者表>を承認する。
◆新たに日本へ入国する場合は、ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働局(DOLAB)において送出機関が手続きを行う。
◆在日ベトナム人の場合は、駐日ベトナム大使館において本人または介護施設が手続きを行う。
4、地方出入国在留管理官署へ在留資格認定証明書の交付申請をおこなう。2021年2月15日以降は承認された推薦者表も提出する。
5、ビザ(査証)を得て → 日本に入国
時間を要していますが、<推薦者表>など具体的なベトナム側のルールが示されたことは、ベトナム政府が特定技能に関して動き出したと言えるのではないでしょうか。
在ベトナム日本大使館
https://www.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/20210106SpecifiedSkilledWorker_ja.html
出入国在留管理庁
http://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri06_00109.html
特定技能の試験開催について
2021年1月27日付で、ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働局(DOLAB)よりベトナムの送出機関に対して、特定技能に係る試験の要件が正式に文書で公表されました。その文書の内容を簡単にまとめると、
1、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)と14業種の技能試験対策資料や試験問題のサンプルをDOLABのホームページ経由で確認できる。
Cổng thông tin điện tử – Cục quản lý lao động ngoài nước (dolab.gov.vn)
2、試験合格の証明書の有効期限
◆日本語の試験はJFT-BasicまたはJLPTの証明書のみを認め、証明書の有効期限は無期限。
◆14業種の技能の証明書の有効期限は10年。
※ 末尾にDOLABの文書・ホームページと証明書のサンプルを掲載しています。
公表された試験要件に目新しい内容はありませんでしたが、DOLABから正式に試験に関する情報が出たこと、また、ベトナム共産党大会開催中にもかかわらず公表されたことなどが重要視されています。
他分野の技能評価試験がいよいよ開始
2021年1月18日付で、国土交通省のホームページに建設分野の技能評価試験の日程が掲載されました。ベトナム:ハノイ市にて3月23日(火)に実施されます。鉄筋施工の職種で受験定員が30名からのスタートとなりますが、ベトナムが特定技能で具体的に動き始めた実例として注目されています。試験の合格者は国土交通省の計画審査、出入国管理庁の在留資格審査等を経て、最短で2021年の夏より就労を開始する見込みです。
介護分野の今後の動きについて
建設分野で特定技能の試験がいよいよ開始されます。介護分野の特定技能の試験がいつ開催されるのか気になるところですが、5月あるいは7月あたりには実施されるのではないでしょうか。コロナウイルスの感染状況が大きく影響しますが、明るい兆しが感じられます。
追加の情報が出ましたら、改めてご報告いたします。
※ 末尾資料① DOLABの文書・ホームページ
※ 末尾資料② 証明書のサンプル
国際交流基金日本語基礎テスト
介護日本語評価試験
介護技能評価試験