外国人介護士への給与はどれくらい?技能実習、特定技能、EPA、在留資格「介護」それぞれの現状とは

日本では高齢化が進み、介護施設における介護士の需要が増加していますが、国内の人材だけでは十分な数を確保できていません。そのため、外国人介護士の雇用が重要視されるようになってきました。この記事では、外国人介護士を雇用する際に必要な在留資格の種類と、それぞれの資格ごとの給与設定のポイントについて詳しく説明します。

1. 外国人介護士が取得できる在留資格

技能実習

技能実習制度は、外国人が日本の技術や知識を学び、それを母国へ持ち帰ることを目的としています。介護分野では2017年度から対象職種に追加されました。この制度では、受け入れ企業が必要な手続きを行い、技能実習計画を作成しなければなりません。技能実習生の給与は日本人と同等以上でなければならず、最低賃金を上回る必要があります。

特定技能

特定技能制度は、労働力不足を補うために創設されました。介護分野を含む12業種で受け入れが可能です。特定技能では、外国人労働者が一定の専門知識と技能を持つことが前提とされています。特定技能者の給与は、日本人と同等以上である必要があります。

EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者

EPA候補者は、介護福祉士の資格を目指して日本で働きながら研修を受ける外国人です。EPAはインドネシア、フィリピン、ベトナムとの間で結ばれた協定で、最大4年間の在留が可能です。この期間内に介護福祉士の資格を取得できなければ帰国しなければなりませんが、資格を取得すれば在留資格「介護」に変更できます。

介護

在留資格「介護」は、2017年に新設された資格です。この資格を持つ外国人は介護福祉士資格を保有しており、介護専門学校を卒業しているため、日本語能力も高いです。日本人と同等の給与水準で雇用することが求められます。

2. 在留資格別 給与設定の現状

技能実習の給与設定ポイント

技能実習生の給与は、最低賃金以上であり、日本人と同等の待遇が求められます。介護職の技能実習生の平均給与は17万7,800円程度です。非常勤職員と同等の時給設定が一般的です。

特定技能の給与設定ポイント

特定技能生の給与は、日本人と同等以上である必要があります。特定技能者の平均給与は20万5,700円です。正職員と同等の給与設定が一般的です。

EPAの給与設定ポイント

EPA候補者の給与も最低賃金以上であり、大学新卒採用と同等以上の給与設定が求められます。雇用契約書を取り交わす必要があり、給与や待遇に関する条件を明確にする必要があります。

「介護」の給与設定ポイント

在留資格「介護」を持つ外国人は、日本人と同等の報酬が求められます。介護福祉士資格を持っており、日本人と同様に正職員としての給与設定が必要です。多くの介護施設では資格手当も支給しています。

外国人介護士の現状と課題

1. 外国人介護士の需要と現状

日本の高齢化社会において、介護分野での人材不足が深刻化しています。厚生労働省のデータによると、2025年には約34万人の介護人材が不足すると予測されています。この問題に対応するため、外国人労働者の受け入れが進められています。外国人介護士の需要は年々増加しており、特にアジア諸国からの介護人材が多く活躍しています。

外国人介護士が多く働く施設としては、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などが挙げられます。これらの施設では、介護スタッフの不足が顕著であり、外国人労働者の存在が欠かせません。彼らは日常生活の介助や身体介護、レクリエーションの企画など幅広い業務を担当しています。

しかし、外国人介護士が直面する課題も少なくありません。まず、言語の壁が大きな障害となります。介護業務では高い日本語能力が求められ、特に専門用語や日常会話の理解が必要です。また、日本の文化や習慣に適応することも求められます。これに加え、外国人労働者が日本の社会保障制度や労働環境に慣れるまでには時間がかかることが多いです。

2. 外国人介護士の給与格差と問題点

外国人介護士の給与については、日本人と同等以上であることが法律で定められていますが、実際には地域や施設によって差が生じています。都市部では比較的高い給与が支払われる傾向にありますが、地方では給与水準が低いことが多いです。これにより、地方で働く外国人介護士が経済的に困難な状況に置かれることがあります。

また、外国人労働者に対する待遇の差別や不平等が問題視されています。特に技能実習制度では、低賃金や長時間労働、劣悪な労働環境が報告されることがあり、これらの問題に対する改善が求められています。外国人労働者が日本で安定した生活を送り、長期的に働き続けるためには、適切な給与と良好な労働環境の整備が不可欠です。

3. 外国人介護士の活躍とその効果

外国人介護士の存在は、日本の介護現場に多大な貢献をしています。彼らは多文化・多言語の背景を持ち、利用者とのコミュニケーションにおいて新しい視点を提供しています。また、外国人労働者が増えることで、介護施設の国際化が進み、日本の介護サービスの質が向上することが期待されています。

さらに、外国人介護士が介護現場での実務経験を積むことで、将来的に彼らが母国に戻った際にも、日本の先進的な介護技術や知識を持ち帰ることが可能になります。これにより、国際的な介護技術の向上や、アジア全体での高齢者ケアのレベルアップに寄与することが期待されます。

4. 外国人介護士のサポート体制

外国人介護士が日本で安心して働くためには、さまざまなサポートが必要です。まず、日本語教育の充実が重要です。介護現場では、利用者とのコミュニケーションが不可欠であり、専門的な用語や状況に応じた適切な表現を学ぶことが求められます。これに加え、日本の文化や習慣を理解するための研修も必要です。

また、労働条件や生活環境の改善も重要です。外国人労働者が安定した生活を送り、長期間にわたって日本で働き続けるためには、適切な給与と良好な労働環境が不可欠です。特に、労働時間や休暇の取り扱いについては、労働基準法に基づいた適切な管理が求められます。

さらに、外国人介護士が困ったときに相談できる体制の整備も重要です。日本の法律や制度に詳しくない外国人労働者が、不安や問題を感じた際に、適切にサポートを受けられるようにすることが必要です。具体的には、外国人労働者向けの相談窓口や支援センターの設置が考えられます。

5. 外国人介護士の将来展望

今後も日本では、高齢化の進展に伴い、介護人材の需要が増加することが予測されています。そのため、外国人介護士の受け入れがさらに拡大することが期待されます。特に、特定技能制度やEPA協定の枠組みを活用して、質の高い外国人労働者を積極的に受け入れることが重要です。

また、外国人労働者が日本で長期間にわたって働き続けられるよう、在留資格の見直しや労働環境の改善が求められます。例えば、在留資格「介護」を取得した外国人介護士が、家族を帯同して日本に長期的に滞在できるような制度の整備が必要です。これにより、外国人労働者が安定した家庭生活を送りながら、安心して働き続けることが可能になります。

6. 外国人介護士との共生社会の実現

外国人介護士を受け入れることで、日本社会の多様性が広がり、多文化共生の実現が進むと期待されています。外国人労働者が日本で活躍することにより、異なる文化や価値観が共存し、新たなコミュニケーションや協力の形が生まれます。これにより、日本の介護現場においても、利用者一人ひとりに対する柔軟な対応や、より良いサービスの提供が可能となります。

また、外国人介護士が地域社会に根付くことで、地域の活性化にも寄与します。外国人労働者が地域のイベントや活動に参加することで、地域住民との交流が深まり、多文化共生の輪が広がることが期待されます。これにより、地域社会全体がより多様性に寛容で、豊かなものとなるでしょう。

7. 外国人介護士に対する日本社会の期待

日本社会において、外国人介護士に対する期待はますます高まっています。彼らが日本の介護現場で培った経験や知識を活かし、母国での高齢者ケアの向上にも寄与することが期待されています。また、外国人労働者が日本の社会保障制度や労働環境に慣れ、長期的に働き続けることで、日本の労働力不足の解消に貢献することが期待されます。

さらに、外国人介護士が日本で得たスキルや経験を活かし、国際的な介護のネットワークを構築することが期待されています。これにより、日本の介護技術が世界中に広がり、国際的な高齢者ケアの向上に寄与することができるでしょう。

まとめ

外国人介護士の雇用は、日本の介護現場において重要な役割を果たしており、今後もその需要は増加することが予測されています。しかし、外国人労働者が安心して働き続けられるよう、適切な給与や労働環境の整備、言語教育や文化理解のサポートが求められます。日本社会が外国人介護士を積極的に受け入れ、多文化共生の社会を実現することで、介護分野における持続可能な発展が期待されます。