6月26日付の日本経済新聞によると、イオンは、特定技能受け入れ拡大の一環として飲食料品製造業分野は工場だけでなく食品スーパーでの総菜製造が可能になることが閣議決定されたことを受け、2030年度までに特定技能外国人労働者を4,000人受け入れる計画を発表しました。これは、現在の約1,500人から大幅に増員する計画であり、主に総菜調理や清掃業務を担当する模様です。この記事ではその計画の概要をまとめました。
取り組みの詳細
- 人材受け入れ拡大:
- 食品スーパーでの総菜製造や清掃業務など、様々な業務に特定技能外国人を配置します。
- イオンディライトが中心となり、グループ企業だけでなく他社にも特定技能外国人を紹介するサービスを提供します。
- 教育と住居の整備:
- 2~3人で生活できるシェアハウスを提供。
- 休日に観光地を巡るレクリエーションを企画し、異国での生活に慣れるための支援を行います。
競合他社の動向
他の大手企業も特定技能外国人の受け入れを強化しています。
- セブン&アイ・ホールディングス: 約240人の特定技能外国人を雇用。
- ハイデイ日高: 24年の採用数を前年比で6.5倍の26人に増やす。
- ワタミ: 24年3月時点で227人の特定技能外国人を雇用、前年同月比で4割増加。
長期的な課題
日本経済研究センターの試算によれば、ベトナムやタイ、インドネシアの給与水準が2032年までに日本の給与の5割を超える見通しです。これにより、これらの国々の人々が日本で働く動機が薄れる可能性があります。そのため、企業側は以下のような支援を強化する必要があります。
- 技術習得支援:
- 特定技能外国人に対する技術教育やトレーニングを強化することで、長期的な就労を促進する。
- 生活支援:
- 社員寮の提供や在留中の生活支援など、生活基盤の整備を行う。
まとめ
イオンの取り組みは、日本国内の小売業や外食産業における深刻な人手不足に対する一つの解決策として非常に意義があります。特定技能外国人労働者の受け入れと定着は、労働市場の多様化と国際化を促進し、日本の経済を支える大きな力となるでしょう。
重要なのは単に労働者を受け入れるという意識ではなく、彼らが安心して働き、生活できる環境を整えることです。円安も相まって日本の国際的なプレゼンスが低下するなか、日本で働くメリットが見いだせなければいくら日本側が受け入れ計画を作っても、海外人材は来てくれないでしょう。
お互いの文化を尊重し、理解し合うことを前提に、働きに来てくれる海外人材が働きやすいよう支援していくことが長期的な成功の鍵となります。