国内受験者数が減少! 特定技能外国人(介護)の試験 合格者数・合格率は?
人材不足に悩む国内の各業界において、2019年に新設され新たな人材確保の手段として注目される外国人労働者の在留資格「特定技能」。介護分野の特定技能外国人は来日するために、日本語の試験に加え介護分野で定められた2つの試験に合格しなければなりません。2019年4月にフィリピンで初めて実施された2つの試験は、2021年2月現在では日本を含む8ヶ国で実施されています。合格者累計はスタートの早かったフィリピンが一番多いのですが、昨年1年の比較では合格率はフィリピンが高く合格者数はインドネシアが最多でした。
当初はどの国も合格率が低く心配されましたが、2020年3月末に介護テキストが各国の言語に翻訳されたことや、学習ノウハウの蓄積により、徐々に合格率が上昇しています。特定技能外国人の介護分野の国別試験合格者数・合格率をご参照ください。定期的に試験結果を更新します。(更新日:2021年7月)
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2つの試験とは
特定技能外国人が日本で就労するためには、日本語の試験と分野別の技能試験の2種類の試験に合格しなければなりません。日本語の試験は「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT‐Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)のN4」のどちらかに合格する必要があります。
分野別技能試験は、14分野別に運用方針が定められており希望分野の技能試験に合格する必要があります。介護分野においては、分野別試験を2つ設けています。1つは「介護日本語評価試験」、もう1つは「介護技能評価試験」です。試験の詳細については、下記のコンテンツをご参照ください。
特定技能の「介護日本語評価試験」と「介護技能評価試験」とは?
https://www.hni.co.jp/1026/
技能試験結果の特徴について
「介護日本語評価試験」と「介護技能評価試験」は試験問題に使われている言語に大きな違いがあります。介護日本語評価試験は日本語能力を確認するため、問題文も全て日本語で記載されています。一方、介護技能評価試験は得意の言語で受験することが可能です。日本語・英語・中国語・ベトナム語・インドネシア語・タイ語・ビルマ語・モンゴル語・ネパール語・クメール語の10の言語に訳された問題から選ぶことが出来るため、母国語での受験が可能です。
介護日本語評価試験と介護技能評価試験を比較すると、得意言語での受験が可能な介護技能評価試験の合格率が高いと思われがちですが、意外にも日本語で受験する介護日本語評価試験の合格率の方が高い国が多くみられます。試験が実施されている8ヵ国のうち、介護技能評価試験の合格率の方が高いのはフィリピンとモンゴルの2ヶ国だけです。
当社はインドネシア人に対して、これまで2つの技能試験の対策授業をZOOMを介しおこなってきました。2021年2月現在で合格者数が30名で、合格率は100%(全員一発合格)です。合格したインドネシアの学生が、介護技能評価試験について興味深いことを教えてくれました。当社が作成した模擬テストは本番のテストにとても近い内容だったようですが、本番のテストはインドネシア語を選択したが、そのインドネシア語が理解しにくかったと言うのです。試験は日本語で作成された後に10ヶ国語に翻訳されます。これは憶測ですが、翻訳の精度に違いがあり、それが合格率に影響しているのかもしれません。
2021年の合格者数
日本国内の受験者数は、介護技能評価試験・介護日本語評価試験とも2021年3月度(技能:2,067人、日本語:1,852人)をピークに、4月度、5月度と減少し、5月度はピークだった3月度と比較して、介護技能評価試験で▲31.2%、介護日本語評価試験で▲36.2%となっています。