外国人材の訪問介護解禁 厚労省での検討会がスタート
外国人材にも、いよいよ訪問介護が解禁される方向で議論がスタートしました。
厚生労働省は7月24日、専門家から成る検討会の初会合を開催しました。年末までに、要件の緩和の可否や具体的な内容をまとめる予定です。
厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34303.html
訪問介護が可能なのは介護福祉士だけ
外国人介護スタッフは、経済連携協定(EPA)、「介護」の在留資格、技能実習、特定技能の4つの制度に基づいて働いています。現在、訪問介護に参加できるのは、国家資格「介護福祉士」を取得することが条件となる「経済連携協定(EPA)」と「介護」の在留資格だけです。検討会では、特定技能や技能実習の在留資格を持つ外国人が訪問介護に参加できるようにすることが主な議論の焦点となります。
(※ 技能実習の廃止が決定しており、新制度での訪問介護の可否も検討される)
現在、上記の在留資格を持つ外国人材は介護施設で働くことができますが、訪問サービスによる自宅での入浴や食事の支援は許可されていません。訪問介護は利用者と介護者が1対1で行うことが基本で、言葉や文化への理解などに基づく適切な対応が求められ、これが難しいとの懸念があるためです。
一方で、「集合住宅の併設事業所などでは対応できる」「外国人の在留年数などを考慮に入れてもいい」「複数名が同行する訪問入浴なら可能」といった提言もなされました。
訪問介護の解禁は、更なる人材獲得競争への号砲!
法務省が主催する「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」の中間報告を受ける形で厚労省の「外国人材の業務の在り方に関する検討会」が開催されている以上、訪問介護を解禁しないという結論はあり得ないでしょう。何らかの条件付きで認めると思います。考えられる条件として、
① 複数の職員が外国人材を指導できる
② 日本滞在年数&日本語レベルの考慮
上記2点は訪問介護を外国人材に解禁するうえにおいて合理的な理由です。一般的な訪問介護サービスは勤務形態や移動手段の課題を解決しない限り外国人材の受入れは難しいでしょう。しかし、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅なら介護施設に近い運営が可能なため新たに人材獲得競争に加わることになるでしょう。
さらに、我々は慎重に内部討議(国における討議および受入法人内での討議)を進める余裕が無いことを理解しなければなりません。介護人材としての外国人材が日本を見捨てる前に、日本に受け入れる実績を作る必要があります。円安が進む日本で、さらに賃金が高くないの介護業界に、門戸を広げただけで外国人材が駆けつけることはないでしょう。外国人材には選択肢があります。賃金がはるかに高い韓国やオーストラリア、巨大な介護市場が急速に成長しつつある中国、初歩的な中国語能力や限定的でシンプルな介護技術でも受け入れている台湾では家族との滞在が認められています。日本も果敢に規制を緩和しなければ、この国際的な人材獲得競争に勝てないでしょう。
チャンスは秋まで
「外国人材の業務の在り方に関する検討会」での厚労省の決定が、今年の12月になると見られます。これは、令和6年4月の新しい体制開始に向けたスケジュールを想定したものです。4月には出入国在留管理局で入国申請書類の受付が開始されるため、4月以降は大量の申請が提出されるでしょう。管轄の入管によっては申請から入国までに半年以上必要な場合も覚悟しなければならないでしょう。さらに、毎年1月から3月は留学生等の在留期間更新の時期と重なるため、申請が混み合うことが予想されます。したがって、今年中に外国人材の採用を決定し、入国手続きを進めることが推奨されます。そうしなければ、申請の混雑に巻き込まれる可能性があります。外国人材の受入れを検討している介護施設様は、チャンスを逃さないためにも秋までに行動を起こすべきでしょう。
※ご注意
・ 技能実習生は面接~内定後から日本語教育が開始されます。
よって今から採用すると大混乱に巻き込まれます。
・ 特定技能でも、技能実習生と同様の可能性があります。
既に入国要件を満たしている(日本語と介護の試験に合格している)人材を面接してください。