はじめに
政府は2025年4月から、特定技能・技能実習の外国人が訪問介護に従事できるよう制度を改正します。2024年3月11日にこの方針が閣議決定され、介護現場の人手不足解消に向けた大きな一歩となりました。
これまで、訪問介護は外国人介護士に認められていませんでしたが、今回の決定により、一定の条件を満たした外国人が利用者宅での介護サービスを提供可能になります。
訪問介護解禁の対象者と条件
今回の改正で訪問介護業務に従事できるのは、在留資格「特定技能(介護)」および「技能実習(介護職種)」を持つ外国人です。ただし、以下の条件を満たす必要があります。
✅ 介護職員初任者研修を修了していること
✅ 介護施設などで1年以上の実務経験があること
✅ 日本語で適切にコミュニケーションが取れること
すでに訪問介護が可能な「介護福祉士資格取得者」やEPA(経済連携協定)による外国人介護士に加え、特定技能や技能実習生も訪問介護の担い手になれるようになりました。
施行スケジュール
政府は2024年内に詳細な運用ルールを確定し、2025年4月から施行します。
- 2025年4月1日:技能実習生の訪問介護従事が解禁
- 2025年4月中:特定技能外国人も訪問介護に従事可能
介護事業者に求められる対応
外国人訪問介護士の導入に向けて、事業者には以下の準備が求められます。
🔹 事前研修の実施(訪問介護の基礎、利用者対応、コミュニケーション)
🔹 OJT(同行研修)の実施(一定期間、日本人スタッフが指導) 🔹 キャリアアップ計画の策定(業務内容や役割の説明、キャリアアップ計画の策定)
🔹 ハラスメント対策(相談窓口の設置、利用者・家族への啓発)
🔹 ICTの活用(翻訳アプリ、記録ソフトの導入、緊急連絡体制の整備)
これらの条件を満たさない事業者は、外国人訪問介護士の受け入れが難しくなる可能性があるため、早めの準備が必要です。
期待される効果と課題
✅ 期待される効果
- 人手不足の解消
日本人訪問介護員の若年層は4%以下。外国人材の活用で若い世代を確保できる。 - 職員の負担軽減と定着促進
労働力が増えることで、職員一人あたりの負担が軽減し、離職防止にもつながる。
⚠ 考えられる課題
- 日本語での意思疎通
利用者とのスムーズな会話ができるかが重要。方言や専門用語の理解も必要。 - ハラスメントリスク
1対1の業務となるため、利用者からの差別的発言やセクハラへの対応が求められる。 - 事業者の負担
研修、OJT、監督体制の整備など、導入コストがかかるため、小規模事業者は慎重な検討が必要。
まとめ
今回の閣議決定により、2025年4月から外国人による訪問介護が解禁されます。
しかし、日本語力・業務経験の要件を満たすこと、事業者のサポート体制が整っていることが前提条件です。制度の円滑な運用に向けて、介護業界全体で受け入れ体制を強化し、課題解決に取り組むことが求められます。