更新日:2010.12.3
上三年、下三日 其の一
「だけど春山さんは、いつお目にかかっても本当にお元気ですね」と、私と長年おつきあいのある方は半分呆れたように口にされる。
そして「何かだんだん元気になってきているように思う。そのうち歩きだすんじゃないですか」とわが社のスタッフに水を向けると、
しばらく考えて「うちの社長はもうこれ以上元気にならなくていいです。これ以上元気になって、まさか立ち上がりでもしたら、
いつ回し蹴りが飛び出るのか、僕ら恐ろしくて仕事ができません」と笑いながら答えた。
■ 叱れない上司
私の障害すら今やネタにして受け答えする社員を頼もしくも思うが、あながちこれは彼らの本心だろう。
私は手も足も全く動かないのに、実によく社員を叱る。
時として怒りに変わることもあるが、その都度「叱ると怒るとは違う」と反省しながら自らを戒める。
叱るとは指導であり、怒るとは単なる感情の露呈にすぎない。
今の日本は、部下を叱らない上司だらけだ。
なぜ叱れないか。
叱ると、後ろ指をさされ自らの弱点を批判される恐れがある。
それが怖い。
だから、日本の上司のほとんどは「グループリーダー」という名前の、「仲良しクラブの隊長」に成り下がっている。
「仲良しクラブは絶対に作らない」。
これが、私の部下へのメッセージである。
「仲良しクラブを絶対に作るな」。
これが取引先への心得である。
「文句があったらいつでも批判してみろ」「文句があるならいつでもフェアに別れよう」。
そして「悔しかったら俺を追い越せ」と自らが毅然(きぜん)と背中を見せれる間は、私はまだわが社のリーダーとして存在できる。
(次回に続く)
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