「特定技能」インドネシア介護人材の受入手続 その②

「特定技能」インドネシア介護人材の受入手続 その②

特定技能介護人材を母国より迎え入れる場合、国ごとに手続が異なります。

日本政府が特定技能に関する協力覚書(MOC)を締結している関係各国とは特定技能制度の目的や相互連携の他、試験や手続についての約束やルールを定めています。特に手続は国により違いが大きいため、外国側の制度内容を事前に把握することが大切です。

インドネシア介護人材が来日するためには、日本側の手続きだけでなくインドネシア国内の手続きも必要です。インドネシア介護人材の居住地によっては思いのほか時間を要するため、入国日を決める際に注意が必要です。

<目 次>

1.インドネシア介護人材がおこなう出国手続-1 パスポートの申請

2.インドネシア介護人材がおこなう出国手続-2 SISKOTKLNへの登録

3.インドネシア介護人材がおこなう出国手続-3 査証(ビザ)の申請

4.まとめ

5.ところが・・・

※ 受入の全体像は、以下の図の通りとなります。この図の内容を分解してご説明いたします。

◯インドネシアから新たに受け入れる場合の手続の流れ(出入国在留管理庁HPより)

http://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri06_00108.html

IDN手続の図_全体.jpg

◆インドネシア介護人材がおこなう出国手続-1 パスポートの申請

特定技能外国人として日本で働くことが決まったインドネシア介護人材は、自国の入国管理局でパスポートの申請をおこないます。パスポートの申請には日本から送られた在留資格認定証明書が必要です。パスポートの発行には約7日前後から最大で14日前後を要する場合もあります。

また、インドネシアでは日本のように簡単にパスポートを作ることが出来ません。留学生や技能実習生も「在留資格認定証明書」が必要です。例えば「海外旅行に行きます」と申請しても、海外旅行へ行くことがわかる詳細資料の提出を求められます。もし嘘がバレ、ブラックリストに掲載されるとパスポートの発行が難しくなるそうです。

◆インドネシア介護人材がおこなう出国手続-2 SISKOTKLNへの登録

特定技能外国人として介護施設で働くことが決まったインドネシア介護人材は、パスポートの発給後にインドネシア政府が運営する⑥SISKOTKLN(海外労働者管理サービスシステム)に登録します。

 SISKOTKLNは海外に出国するインドネシア移民労働者のデータ収集システムです。登録するとICチップの入った⑦移住労働者証(E-KTKLN)が付与されます。E-KTKLNには海外労働許可のID番号が記載されているだけでなく、インドネシア移民労働者としての身分証明書であり、インドネシア政府が正式な手続を経て海外へ送り出し、自国民として保護の対象としている証拠でもあります。

手続の図_2-_⑥⑦用.jpg

◆インドネシア介護人材がおこなう出国手続-3 査証(ビザ)の申請

日本から送られて来た在留資格認定証明書とE-KTKLNと航空券の予約情報などを用意して在インドネシア日本国大使館・領事館へ⑧査証(ビザ)の申請をおこないます。

インドネシアに4ヵ所ある領事館ではビザの申請を直接受付けていますが、ジャカルタの大使館は受付けていません。その代わりにジャカルタにある日本ビザセンター(JVAC)が受付窓口となっており、JVACに申請書類等を提出して手数料を支払います。 ビザ申請は特定技能外国人である本人が行って申請手続をしなければなりませんが、日本国大使館に登録されている旅行代理店や所属する企業・団体で一括して申請手続をすることも可能です。審査と最終決定は日本国大使館がおこない、⑨査証(ビザ)が発給されます。

ここで注意することがあります。インドネシアは南北1,900㎞・東西5,100㎞と非常に広大な国土のため、申請する地域によってはJVACや領事館までが非常に遠く「自宅から1,000㎞離れています」と言われたこともあります。旅行代理店等に依頼することも可能ですがサインが必要な書類もあるため、その郵送に5日とか7日を要する場合があります。また、サインした書類に不備があれば再提出となるため郵送し直しとなります。ビザ申請には時間的な余裕が必要です。

ビザが発給されたら、介護施設と連絡を取り合い、出国準備を経て⑩インドネシアを出国することとなります。

手続の図_2_⑧⑨⑩_.jpg

◆まとめ

今回はインドネシア側の手続きをご説明しましたが、スケジュールを考える上で「国土の広さ」は日本人には想像ができません。また、輸送インフラは日本より脆弱なこともあり、国内郵便の到着日数も、5日後・7日後などは常識の範囲内です。ゆったりとした国民性も影響し、日本人の想像より手続に時間が必要だと覚悟しつつ、インドネシア側のパートナーと随時スケジュール確認をし合うことが大切になります。

▼「特定技能」インドネシア介護人材の受入手続 その① ←こちらをお読みで無い方は、ぜひご覧ください。
https://www.hni.co.jp/1363/

◆ところが・・・実態は異なる!

ここまでインドネシアと締結した協力覚書(MOC)に沿って内容をご説明してきました。しかし、マッチングでご説明した日本の求人者とインドネシアの求職者が登録することになっているジョブ・マッチングシステム「IPKOL(労働市場情報システム)」は特定技能介護人材とのマッチングに利用できない状態となっています。

にもかかわらず、入国手続きは滞ることなく進められています。

では、どのように手続を進めているのか・・・

次回はIPKOLが使えない状態での手続きの進め方についてご説明いたします。