決戦前夜 施設系VS訪問系 仁義なき採用の戦い

外国人介護人材 いよいよ訪問系サービスにも拡大!?

介護人材獲得競争 激化必至!

<目 次>

◆ いよいよ訪問系サービスにも外国人介護人材が認められる?

◆ 訪問系の圧倒的な人材不足

◆ どのサービスが受け入れ可能になるのか?

◆ 外国人介護人材の獲得競争が激化へ、今動かなければ生き残れない。

◆ 門戸が開くのは2024年の4月か それまでに対策を

◆ いよいよ訪問系サービスにも外国人介護人材が認められる?

3月10日の衆議院・厚生労働委員会にて、立憲民主党の田中健議員が質問しました。

「国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において外国人を受け入れる特定技能制度、これを今認められていない訪問介護や住宅型有料老人ホーム等の高齢者施設、人材不足をしている業種にも拡大を検討できないか」

これに対して厚労省「社会・援護局」の川又竹男局長が、

「技能実習生あるいは特定技能外国人の訪問介護・有料老人ホームでの従事に関するご指摘に関しては検討すべき課題であるというふうに認識しております。」と明言。

「現在、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議で制度の在り方全般に係る議論が行われている。その議論の状況も踏まえ今後の外国人介護人材の活用について介護現場の実情あるいは関係団体の意見も伺いながら対応していく」とのこと。

本格的に検討されることが明確になりました。

◆ 訪問系の圧倒的な人材不足

ご存知の通り、介護業界は人手不足と言われています。他業種に比べても有効求人倍率が非常に高く、採用に困られている介護事業者が多いのが現状でしょう。しかし、有効求人倍率は施設系と訪問系で大きく異なっています。下の表のとおり施設系では約4倍ですが訪問系になると約15倍となり、圧倒的に訪問系の介護人材が不足していることがわかります。同じ介護分野でも、訪問系は施設系よりも国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野であり、特定技能外国人の受入れが必要とされる分野だと言えるでしょう。

施設介護職員_訪問介護職員_有効求人倍率.jpg

※ 厚生労働省 社会保障審議会 介護保険部会(第93回) 令和4年5月16日 資料2より

◆ どのサービスが受け入れ可能になるのか?

しかし、訪問系と言っても様々なサービス形態があります。訪問介護に代表される、利用者の自宅でサービスするものから、実態として施設介護に近い住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅があります。果たして全ての訪問系サービスで外国人介護人材を受け入れることが出来るのでしょうか。

冷静に考えますと、外国人介護人材が一人で利用者の家を訪問するサービスは、非常にハードルが高いと思われます。移動手段の問題、セクハラ・パワハラの問題、言葉の問題、安全性の確保など、一人で動くことで生じる問題の解決は、容易ではありません。

一方、指導者からの指示や何かあった際に同僚などからのサポートが受けやすい住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅、複数人でサービスに伺う訪問入浴は外国人介護人材を受け入れやすいと考えられます。まずはこのあたりのサービスからスタートすると予想します。

◆ 外国人介護人材の獲得競争が激化へ、今動かなければ生き残れない。

現在、外国人介護人を受け入れることが出来るのは施設系サービスのみです。主な3施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、特定施設入所者生活介護)だけで約125万床になるようです。これに対して住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者住宅は約54万床となります。

この54万床に対して、新たに外国人介護人材の受入れを認めるということは、つまり採用競争の相手が40%増えることを意味しています。住宅型およびサ高住は、今まで外国人介護人材を採用したくても採用できませんでした。それがOKになったら、積極的に動き出すことは間違いないでしょう。円安や低賃金の影響で日本の国際的な魅力は低下しています。アジアの介護人材は世界中で獲得競争がおこっています。そこへ国内から強力なライバルが誕生しようとしているのです。

◆ 門戸が開くのは2024年の4月か それまでに対策を

現在、特定技能制度と技能実習制度の在り方などに係る有識者会議が開催されています。方向性がまとまり、国会で法案が成立するまで早くても1年を要するでしょう。国会で法案が成立しすぐに施行されるかは不透明ですが、訪問系サービスの人手不足を放置しては2025年問題を乗り越えられるか不透明なため、2024年4月には解禁されるのではないでしょうか。ライバルより先手を打つなら今しかありません。来年度の人事計画は決まってしまったなどと言わず、大胆な見直しが必要ではないでしょうか。