更新日:2010.3.26
ニッチのガリバー 其の一
新商品を発表してマスコミや関係機関から大好評を得ると「さすが春山さん。こういうアイデアは不自由な立場だからこそ発想できたのですね」と
お褒めの言葉をいただく。
私は、「いえいえ、そんなにお褒めをいただくことではありません」と謙そんしてつぶやくが、心の中ではこう叫ぶ。「バカか。不自由なだけの観点で
商品を開発しそれがヒットするなら、日本中、発明者だらけだ」と。ビジネスとはそんなに甘いものではない。
■ 顧客の目線徹底
出口の見えない日本経済のキーワードとして、昨今「川下思考」という言葉がよく使われる。気付けばものがあふれ、買わせるものも魅力ある価格も
失われた日本経済を再活性させるのには、改めて顧客の立場に立たなければならないという視点からだろう。
その評論は正しいが、はたして行動は? 私はある大手電気メーカーの最高責任者に「あなた方は『川下思考、川下思考』と口先だけの念仏のように
唱えるが、その実、川上にどっしりとお尻をおろして、手先だけちょろちょろと川下をなでているに過ぎない」と申し上げたことがある。
本当の川下思考とは、腰までどっぷり泥につかって、徹底して顧客の目線から見つめることだ。それを繰り返すことによって、ものがあふれたように
見える今も、いまだ提供されていないものがあることに気付く。
(次回に続く)
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