更新日:2010.7.2
若者よ だまされるな 其の二
■ 迷い考える時間
二十四歳で不動産業を開業した。ところが、運命はまた私に試練を与えた。難病の発症である。 それからの出来事を今振り返ると、この連載タイトル「闇の中の光」を追い続けてきた半生にため息も出るが、
しかし、私には十分に試行錯誤する時間と迷いながら考える時間があった。
なぜ今の若者には夢がないのか。こうした世評はいつの時代も付きまとうものだ。 私は「そう言う社会にだまされるな」とメッセージを発したい。
団塊の世代をはじめ私を含めた中高年が、今の日本をつくる原動力となってきたことは間違いない。しかし、彼らには、今の若者たちが持つ複雑な悩みは、
ほとんど存在しなかった。
彼らが目標としてきたのは、とにかく豊かになりたい、何とかしていい大学に入りたい、いい会社に入りさえすれば安定した生活ができるだろう、という
貧しさからの脱却であった。 戦後復興から今の日本をつくりあげる中で、発展途上国のきらきらと輝くような、分かりやすい目標の下に動いてきただけの
日本であった。
そして今、豊かになった代償として、まるで時間を経過して表面化する環境ホルモンのような形で問題が露呈してきたのが、目的が見えない、進路が
決まらない若者たちの姿である。 これは、今の中高年が築き上げてきた社会の手痛い副産物であることは間違いない。
(次回に続く)
|