更新日:2011.2.4
スピード遅い大企業 其の二
■ 1日は24時間ある
開発にめどが見え始めたとき、私はこの商品のXデーを設定した。
秋の展示会に間に合わせるためだ。
これに遅れると、事実上一年間のマーケティングスケジュールが狂う。
すべての工程を精査しこれでいけると確信した私は全関係者が勢ぞろいした開発会議で発表した。
これに対して「春山社長、それはいくらなんでも無理です」と彼らは猛反発した。
そこで「なぜ無理なんだ。必ず、私のスケジュールどおりにやればできる」と改めて告げた後、「お前たちは一日を八時間で計算しているのではないのか。一日は二十四時間あるということを
忘れているんじゃないのか。夏休みなんて取らなくっていいんだぜ。一生のうちで一年ぐらい休みなく働くときがあったっていいんだぜ」と目をすえて話した。
達成した成果があるから休養があるのであって、「よし、ここぞ」と決めた時は、わき目もふらず刻苦勉励して、死にもの狂いで働く。
それが今の豊かな日本を作ってきたことを、皆忘れている。
その結果、十ヶ月で製品の開発に成功。
当初の予定どおり十月の展示会に出品し、極めて高い評価を受けるだけでなく、その場で注文が殺到した。
この成功を間近にみたA社の重役は「春山社長、正直申し上げます。この開発は三年かかると思っていました。ただ、やってみたら出来ました。こういう事例は、
自分たち(A社)のグループでは、これまでにありません」
日本には、まだまだ底力がある。
まだまだ余力がある。
条件設定さえすれば、まだまだ勝ちあがれる。
(次回に続く)
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