更新日:2011.2.25
鋭気を避け、惰気を撃つ 其の一
バブル崩壊後の失われた十年を経て、今改めて高齢者医療と介護がビジネスチャンスとして本格的に注目を浴びるようになった。
そんな中、一部大手企業の間で「春山詣で」という言葉が使われているらしい。
日本を代表する大手損保会社、自動車メーカー、製薬会社、家電メーカー、情報産業など多くの企業がブームに乗り遅れまいと医療福祉ビジネスを目指す時、どういうわけか私を頼りにされる。
■ トカゲのしっぽ
しかし、私は常々、自分自身を戒めている。
「かかわったプロジェクトは絶対成功させる。成功しないプロジェクトなら引き受けない」
なぜなら、ノウハウを提供しながら生き残りをかけて零細企業を運営するうえで一番大切なのは、信頼だからだ。
信頼が信頼を呼べば、「春山にかかわってもらえば成功する」という神話が生まれるが、滑る時は速い、信頼を失うときは早いのだ。
参画したプロジェクトの失敗は単なる失敗ではない。 トカゲがしっぽを切って生き延びるように私が切られてしまう。
そのことにだれよりも危機感を感じているのは私かもしれない。
信頼を重ねる時は、薄皮を一枚一枚重ねるように、そして一歩ずつ一歩ずつ階段を上がっていく。 ところがそこに慢心が生まれると、一瞬のうちに二度と這い上がれないようなどん底にたたき落とされる。
失われた信頼を回復するには、三倍の労力と三倍の時間がかかる。進行性の病を持つ私にはそんな時間はない。
(次回に続く)
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