技能実習制度は廃止 新たな制度の創設へ

技能実習制度は廃止 新たな制度の創設へ

日本政府は、外国人技能者の育成を目的とする「技能実習」と、国内の労働力不足を解消するための「特定技能」制度を見直すことを検討している。4月10日に開催された有識者会議で、技能実習制度を廃止し、外国人労働者の確保と育成を目的とした新しい制度を創設することが提案された。会議では、今月中に中間報告書をまとめる予定である。

 技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第5回) | 出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/03_00063.html

技能実習制度は、国際貢献を目的にしているにもかかわらず、外国人労働者の受け入れ手段となっている実態がある。過酷な労働を強いられたり、失踪したりする実習生が問題視されているため、見直しが検討されている。

新制度は、国際貢献の目的を外し、実態に合わせて外国人労働者が技能を磨き、即戦力として活用できる「特定技能1号」につなげることが目標となっている。現行の技能実習制度でも3年間で特定技能1号に移行することができるが、一部の職種では試験を経ないと移行ができない制約がある。新制度では、外国人労働者が中長期的なキャリア形成ができるように、新制度と特定技能の範囲を合わせることが提案されている。

また、外国人労働者の人権侵害対策も盛り込まれており、新制度では雇用主を変更する「転籍」の制限を緩和することが提案されている。さらに、「監理団体」と「登録支援機関」が人権侵害の防止や適切な支援を提供していないことが問題視されているが、これらの機能は重要であると認められ、存続が決定された。ただし、不適格な団体を排除する厳格な仕組みの構築が求められている。

技能実習と特定技能は、どちらも外国人の在留資格である。技能実習は、途上国からの外国人が最長5年間、日本で働きながら技能を習得する制度で、1993年に創設された。2022年末現在、約32万人が技能実習制度を利用して働いている。一方、特定技能は、労働力不足が深刻な特定の産業分野で即戦力となる外国人労働者を受け入れるために、2019年に設けられた制度である。試験に合格するか、3年間の技能実習を修了することで「1号」(在留期間は通算5年)が取得でき、熟練した技能が必要な場合には何度でも在留期間を更新できる「2号」が利用できる。2022年末現在、12分野で約13万人が特定技能制度を利用して働いている。

今後の議論では、新制度の具体的な内容や運用方法が検討されることになる。外国人労働者の人権を保護し、同時に日本の労働力不足を解消する方策を見つけることが、政府にとって重要な課題となっている。今回の提案が新たな制度の創設への第一歩となり、外国人労働者が安全で適切な環境で働けるようになることが期待されている。