技能実習制度と特定技能は垂直統合か

技能実習制度と特定技能は垂直統合か


外国人の技能育成を目的とした「技能実習」と、国内の労働力不足を解消するための「特定技能」制度を見直すべく、政府の有識者会議が28日に技能実習制度の廃止と、新たな外国人労働者確保・育成制度の創設を提案する中間報告をまとめました。この新制度は特定技能と統合的に運用されることが求められています。

中間報告では、技能実習制度が途上国への技術移転という目的と、労働力調整手段としての実態が乖離しているため、廃止が提案されました。また、新制度により未熟練の外国人労働者を受け入れ、「特定技能1号」として現場で活躍できる人材に育てることが求められました。

現行の技能実習制度では87職種が対象となっているのに対し、特定技能1号は12分野に限定されています。中間報告では、新制度の対象職種と特定技能の対象分野を統一することが提案されました。

有識者会議は、今秋の最終報告を目指しており、新制度と特定技能の調整方法や、技能実習から新制度へのスムーズな移行策が議論されると見られています。

焦点の一つに「転籍」の在り方が挙げられます。技能実習では、原則として3年間は雇用主を変更する転籍が認められていません。これに対して人権侵害の要因との批判があり、中間報告では制限の緩和が検討されるべきだとされました。しかし、同一職場で効率的に技能を習得する意見もあり、激しい議論が予想されます。