更新日:2013.7.10
老いへの3つの「助」 其のニ
■ 夫婦で2400万円
日本では今、寝たきりの高齢者が人生の最後を五年近くの間も要介護状態で過ごすといわれている。大雑把(ざっぱ)な計算だが、寝たきりの要介護高齢者の場合、施設介護にせよ在宅介護にせよ公的介護保険を除いて1カ月約二十万程度は必要だと考えられている。一年間で二百四十万円、五年間で千二百万円、人生の最後に夫婦二人で二千四百万円用意できる人は、今の日本にどれくらいいるのだろうか?
公的介護保険制度だけでは、この厳しい現実をすべてカバーすることはできない。だからこそ自分の力で無担保の恐怖から家族を守ろうという自助努力がおのずと求められてくる。まず人生への危機管理意識に基づく「自助」が大切だ。
しかしもっと肝心なことは、自分の老いで子供や家族を泣かさないという明確な意識をもつことだ。その意識が公的介護保険制度に代表される「公助」を支えることにつながる。つまり「自分の老いには金がかかる」という認識が広く日本人の間に浸透することで、「誰の老後にも金がかかる」という共通認識となり、「だから公的介護保険プラスアルファが必要なんだ」という積極的な国民意識へと成長する。
(次回に続く)
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