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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

闇に活路あり

第五章其の一


更新日:2008.5.7
いま日本人に必要なもの 其の一

日本人は優秀で順応性があるといわれる。確かに変わり身が早くしなやかだ。しかし、そこだけが表面化してしまうと“根”に当たる部分がないことが目立ってくる。

サッカーワールドカップでは主催者の言いなりに、たった三日間のゲームのために巨大な競技場を新設し、何十年も負債に苦しむ一方で、不明瞭極まりないチケット販売は結局ウヤムヤにされてしまった。これが欧米の日本に対するやり方だ。「なめられるのもいい加減にしろ!」と腹立たしくなる。

■ 痛み知らぬ戦後世代

日本人は、ぬくぬくと教室の中で実験しているような時は調子がいいが、いったん外に出て独自の対応を求められると手足は動かないし目鼻も利かない。相手に体ごとぶつけられるとヘラヘラ笑って後ずさりし、「どうぞ」と譲ってしまう。本来日本人は、もっとダイナミックだった。自らの意思と志で動き、ルールをつくり、道を切り開いてきた。今ではすっかり、ノーと言えなくなってしまった。

「いざとなったら、自分や家族を守るために自ら戦う」という気概があるから、国際間や社会は均衡が保たれている。こうした精神を戦後の日本人は失ってしまった。ある意味、恵まれすぎて気づかないのだろう。そもそも日本は世界でも不思議な存在だ。大陸にこんなに近い島国が、偶然という幸運でずっと他国に侵略されず今日まで生き残ってきた。せっかくのその良さが今ではアダになっている。

欧米の歴史は侵略と殺りくの繰り返しだった。その血と涙、そして民族の血脈が混じり合い、今日に至っている。日本人はこうした痛みがまったくといっていいほど分かっていない。そうした日本が「今後も生き残っていけるのかどうか」は、歴史だけが証明してくれるはずだ。

今の世の中で、よく「経済復興」という言葉が使われるが、どこへ戻せばよいのかが一向にはっきりしない。まさかバブル経済のピークに戻せ、というわけではないだろう。戦後、日本人があこがれていた物の豊かさはとっくに手に入れた。不況といわれる今でも、日本は十分に豊かだ。個人でたっぷり預貯金があり世界一の金持ち、さらに平均寿命も世界一で人間の時間としても世界一といえる。

(次回につづく)





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