更新日:2008.7.30
価値観とルールを変える 其の一
よく「逆転の発想」という言葉が使われる。しかし私は、逆転の発想などしたことはない。
ビジネスは常に王道を歩いているつもりだ。
たまたま私がキラッと光を見た個所を時代もマークし始めた、ということなのだろう。
■ ビジネスは王道を
私は、これからの日本はある地点を分岐すると1970年代のアメリカのような経済発展の再来になると思っている。
しかし、アメリカをコピーしただけでは絶対に失敗する。
文化が違う、価値観が違う、そして何より自己責任に対する考え方が違う。
だから、日本風に焼き直すことがなかなかできない。
成功させるためには、最初のビジネスモデルがインチキではいけない。
私は「絶対成功させなければならない」という強い使命感を抱いている。
20世紀型の開発とリゾートの頭打ちが叫ばれて久しい。
第二章のオリックスの話の中で登場した大分県別府市の温泉地を例に取ってみよう。
日韓共催のサッカーワールドカップで大分市は試合を誘致した。
しかし結果的には逆効果しか残らなかった。
なぜか? ホテルは有名選手を含むチームの宿泊で一般客を締め出して警備を強化し多額の金をかけた。
しかし、街を訪れたサッカーファンは夜行バスで大挙してやってきてホテルには泊まらず、
コンビニで弁当を買い込んで大量のゴミを残しただけであらしのように去って行った。
大阪のように都会で、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)など、
ほかの観光地との相乗効果のある所はまだいいが、
田んぼの真ん中に何百億円をかけてスタジアムを新設した自治体は、
たった3日間の試合のツケを長く背負っていかなくてはならず、そのほとんどは今ごろになって悩んでいる。
(次回につづく)
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