更新日:2010.2.10
ヒット商品開発の裏話 其のニ
■ 「6万円」に仰天
「世に出すからにはただのベッドパッドではなく、
今までにない上質な眠りを取り戻す、最上質な寝具を目指せ」をキーワードに周辺素材も吟味して、絶対に妥協しないで商品の完成度を追求した。
そのリバウンドとして価格が高くなる。原価計算してみると、どうしてもお客さま価格で五万円を切ることができない。
オリックスのトップは「春山さん、この五万円のベッドパッドは果たして受け入れられるだろうか」と、少し不安げだった。
私は「五万円で不安だったら、私が六万円で売りましょう。その代わり、六万円の価値をさらに付加しますよ」と宣言した。
みんな仰天したように固唾(かたず)をのんだ。私は、この開発した商品に対して自分自身の確信と情熱を持っていたので、自信があった。
最初の販売チャンネルとして決まったQVCでは「あなたの意見は尊重するが、六万円のベッドパッドはいかにも高過ぎる。非常識だ」と、
批評しながらも私にありがたい提案をしてくれた。「テレビ局としてマージンを落としてもいいから、四万八千円で出したらどうか」。
私はこの時、こう問い返した。「佐々木さんは四万八千円だったら、このベッドパッドを安いと言って買いますか。正直に答えてください」。
すると「いやー」と相手は否定する。「三万五千円だったらどうですか」「うーん」「それでは二万円だったら」「まだ高いかな」…。
「いくらならあなたは買うんですか」と尋ねると、「一万円だったら考える」と返ってきた。これが価格破壊という名の「値崩れ」である。
(次回に続く)
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