更新日:2011.10.14
「生き抜く力」を失った日本人 其の一
この欄でも紹介したように、東京の南町田に新しい街「マークスプリングス」が六月からグランドオープンするのを記念して五月十七日に、私の記念セミナーが開催された。
事前の参加申し込みは非常に多く、約一千名近くあった。そこでローマのコロシアムのような円形のドームの中庭に野外ステージをつくって、オープンセミナーをやろうというユニークな企画が立てられた。
ところが当日はあいにくの雨もよう。申し込みは一般公募だったので、かなりのキャンセルがくるだろうと思っていたら、何と満席を超え立ち見が出るにぎわいとなった。これからの街づくりの参考にしようと、南は沖縄から北は青森まで、自治体関係者も多かった。ジャーナリストの櫻井よしこさんの姿もあった。
■ 新しい価値への転換
セミナーの中で私は「安定、成熟の経済・社会へ向かう新しい価値への転換を私たちは求められている」と、メッセージを発した。
今の日本人が抱えるさまざまな問題の原点は実は、経済が高度成長をし始めた昭和四十年代ぐらいにさかのぼることに、私たちは気付かなければならない。三十年、四十年かかって失ったのだから、これから十年あるいは二十年かけても取り戻すという決意が必要だ。小手先の即効薬だけを探そうとすると、さらに深みにおちる。
セミナーの後半に「新しい日本人のグッドタイム(人生最良の時)」というキーワードで参加者の質問を受けた。街づくりや医療・介護に関する質問もあったが、子どもの教育や家族のありよう、人生の生き方についての質問が非常に多く出て、驚かされた。
その中で、これは確か鳥取JC(青年会議所)の方だったと思うが、次のような質問がでた。
「JCの中でも『これからの活力ある日本』というテーマでよく話し合う。そうすると、いつも春山さんの名前があがる。そこで、聞きたい。春山さん、なぜそんなに元気なのですか。私たちから見ると壮絶なハンディを負っていらっしゃるのに、いつもそうやって笑顔で、力強くメッセージを発し、ご自身の指針を出すことができるのですか」
私はこの質問に対して「私が強いのではありません。人間が弱くなったのです。私の場合は、泣いて弱っていたら、もう後がなかったんです」と答えた。
(次回に続く)
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