更新日:2012.9.12
喜ばれずして発展なし 其の一
全国で病院が次々と倒産し始めている。
特別養護老人ホームなどの社会福祉法人ですら、ばたばたと倒れ始めた。
■ 医療福祉も両極化
超高齢社会の到来と反比例するように国が推し進める医療費の削減。社会福祉の充実がいよいよ望まれる中で国が推し進める、丸抱え措置の解体と民間サービスへの開放。
このキーワードをピンチとみるか、チャンスとみるか、医療福祉マーケットはいよいよ両極化を始めた。
先日も、ある病院理事長から、「大阪南部の病院で五億で売りに出ている物件があるんですが、買ったほうがいいですか」と相談を受けた。
例によって、時代の流れを読み違えていよいよ立ち行かなくなった病院の一つらしい。私は財務内容を少し見ただけで、「これは、やめましょう。五億円という売り値以前の問題です。ここまで持ちこたえるだけで簿外債務などドロドロとした問題が、がん細胞のように巣くっている。もし買収するなら、評価できるのは土地の単価だけ。二億円に叩(たた)きましょう。そして従業員は全員解雇。こんな腐った組織に長々と居座っていた者を生き返らせることは大変です。この二つの条件が整えば買ってもいいと思います」と即座に答えた。
よほど病院に恨みでもあるのか、いくらなんでも厳しすぎるのではないか、と思われるかもしれない。
しかし、こうした健全経営のできない医療機関に限って、来院する患者様をお客様と思わない従業員たちが羽振りを利かせている。院内全体に倦怠(けんたい)感と垢がこびりついている。こういう場合は医者も含めてすべてを入れ替えなければ改善は難しいと助言したまでだ。
超高齢社会の到来をチャンスと捉え、そのお年寄りたちに医療と介護をどんぶり勘定で提供してきた病院の役割も変化する。今までのように、医療も介護もほとんどお客様はコストを意識せず、提供する側の論理だけで膨張してきたマーケットも夢物語となる。
(次回に続く)
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