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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

新しい家族へ

第3話後編
更新日:2009.8.21
第3話「気づく」(後編)

◆不安・不満足を解消できれば1000兆円が動き出す◆

それでは、この日本には、まったく未来はないのか? 未曾有の闇の時代に光は見つからないのか?  それこそが次のキーワード「墓場に入る1,000兆円」の市場再還流である。

私たち日本人は、預貯金を中心とする個人金融資産を今でも、1,500兆円温存している。 ローンや消費、そして社会民主主義に大半を消費する欧米の預貯金とは、比較できない埋蔵金である。 その1,500兆円のなんと80%強を50歳以上が所持し、65歳以上がその大半を占有する。

この1,000兆円を超えるお金は、すでに家を建て、子どもを育て上げ、 大きな買い物が終わった後の、いかようにでもなる流動性を持つ。 もちろん、日本人のすべてが豊かではないが、事実として、この国の富の大半は、熟年層が保有する。

ただ、この1,000兆円が動かない。理由は2つ。 「漠然とした不安」そして「漫然とした不満足」。 先行きの不安とモノが溢れる中での物足りなさは、人生設計の不備を醸し出す。

中国・南宗の時代、朱新仲が記した「人生の五計」。いかに生き(生計)、 身を立て(身計)、家庭を築き(家計)、歳を重ね(老計)、そしていかに死ぬか(死計)――。

中でも日本人に足りないのは、老計と死計。老いは、お荷物でも余った生命でもない。 この漠然とした不安と、漫然とした不満足を解決する新しい文化が創れれば、 使われずに墓場に入る1,000兆円を市場へ再還流できる。

TVのゴールデンタイムから自動車や化粧品という大量消費層をターゲットとするCMは姿を消し、 代わって深夜番組や地方局でしか露出しなかったサプリメントや、 熟年女性をターゲットとする商品が、幅を利かせている。 すでに時代はトグロを巻いて動き出した。

私は、薬局薬店・DgSを情報ハブセンターとし、 それをコア(核)にして地域医療も巻き込みながら、 初期の要介護から看取りまですべて包括する「エーキャット」 (ACAT=エイジド・ケア・アジャスタブル・チーム)の創出を読者に提案する。

◆長期療養介護のコンサルティング基地に◆

私の仕事は「日本のグッドタイム」を創ること。 そこにACATがコアとなり、尊厳を守りながら人生を一気通貫で最期までまっとうするシステム、 ワンストップリビングの創出は、21世紀日本のインフラとして、大きなインパクトを与えると確信する。

なぜ、薬局薬店・DgSなのか? 諸君がそう疑問に思うなら、それこそがお宝の山に気づいていない証拠。
だって、その来店客の過半は、熟年高齢者とその家族。若者たちが、そんなに怪我をするのか?
そんなに薬を求めるのか? セルフメディケーションのサポートは、当たり前のことである。 退院患者の多くは富の中枢にいる高齢者とその家族で、漠然とした不安と漫然とした不満足を100%抱えている。

病院の門前に構えて院外処方せんを待つだけの薬局は、 マーケットの流動だけに合わせた「小判鮫商法」「城下町商法」に安住し過ぎてきた。 顧客が持つニーズの裏のウォンツに気づかず、待ちの姿勢で胡坐をかいて、 宝の山を目の前にしながら、そのてっぺんに乗ったクリームだけを舐めてきた。 クリームの下には埋蔵金のような「不安」と「不満」が渦巻いているのに。

薬局薬店・薬剤師の諸君、ここに目を覚ませ! 処方せんをベースとし、長期の生活療養介護をコンサルティングする基地となれば、 まだ見ぬ大きな光と1,000兆円の金塊への近道があるだろう。 薬局薬店・DgSを核にした地域ゾーン開発は、 外圧にも為替にも影響を受けない未曾有のゴールドラッシュへと導く。 私はそう確信する。

(第4話につづく)次回9月4日(金)UP予定!





※このコラムは「DRUG magazin」2009年7月号に掲載された連載を再掲載したものです。





闇に活路あり