更新日:2012.5.2.
第十章 「悪魔を追い払う家」 其の一
■ 「心の壁を取り除く 上」
心のバリアを取り除く― それは私が今の事業を展開していくうえで大きなテーマになっている。その象徴が、四年前、ここ箕面市に建てたわが家である。
新婚当初は2LDKのマンションに、その後は4LDKの賃貸マンションに住んだが、徐々に事業も順調にいき、経済的にもある程度の余裕ができたときのことだ。龍二が小学校に入学するのを期に家を建てることにした。
家を建てる際、考慮したことが二つある。 一つは自然に恵まれていることだ。心地よい風が木々の葉を鳴らして吹き抜け、景色を眺めながら風の音が聞ける。週末にそんな時間を過ごせる環境を探した。幸い、条件に適った土地を見つけることができた。
もう一つは、体の不自由な私と、私とともに暮らしていく家族が、快適に生活できること。そのために、具体的に何をどうしたらいいか―。その基本が、バリアフリーというものだった。
バリアフリーの考え方はイギリスで生まれ、アメリカで大きく花開いたものだが、日本にいち早くこの考え方を採り入れたのは私だと自負している。だが、残念なことに、日本の大手住宅メーカーはバリアフリーの持つ本来の意味を取り違えているようだ。外国で生まれた考え方が、日本に入ってきたとたんに、意味が変わってしまうのはよくあることだが、バリアフリーもその典型である。
(次回につづく)
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