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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜 



第十章其の四




更新日:2012.8.1.
第十章 「悪魔を追い払う家」 其の四


■ 「『家』が人を変える 下」

 まず最初の家は、郊外にある警察官の家だった。そこに住む警察官は犯人を追跡しているとき、犯人の撃ったピストルの弾が脊椎に当たり、下半身不随となってしまったという。彼は警察を辞め、失意のうちにひっそりと世間から身を隠すように暮らしていた。

 しかし、スミスさんが設計した家に住むようになってから、その快適さに元気を取り戻し、車椅子で現役に復帰し、今では第一線で活躍しているという。引退したときは人生に絶望し、人格も変わってしまった人が、スミスさんの設計した家に住んで間もなく、元気になり希望を取り戻したのだ。これは魔法でも何でもない。家が彼の心のバリアを取り去ったのである。

 次に訪ねたのは、看護婦をしている黒人女性の家だった。その女性には二人の子どもがいるが、長女は重度の脳性麻痺だった。長女の存在のせいか、二女の情緒が少しずつ不安定になっていったという。友だちを家に呼びたくても病気の姉がいるために恥ずかしくて呼ぶことができない。

 一方、長女は徐々にいろいろなことに反応を示すようになり、訓練次第では今の状態より、かなりよくなるだろうと思われていた。そこで、母親は長女にとっても二女にとっても、快適で違和感のない家を作ってほしいとスミスさんに依頼したという。

 スミスさんの設計した家で暮らすようになってから、妹は明るくなり、笑い声が戻った。そればかりか重度の脳性麻痺で言語障害を持っていた長女にも変化が表われ、私が訪ねたときには、コンピュータの発声器を使って会話をマスターし、カレッジに通う学生になっていた。


(次回につづく)







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