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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜 



 
第十章其の二




更新日:2012.6.6.
第十章 「悪魔を追い払う家」 其の二


■ 「心の壁を取り除く 下」

 バリアフリー住宅、それは障害を持つ人や体の不自由なお年寄り、そしてその家族の人たちが互いに心の壁を作らず、誰もが快適に暮らせるように作られた家のことである。しかし、日本の大手住宅メーカーが売り出しているバリアフリー住宅には、私も由子も違和感を抱いていた。いくつかのモデルハウスを見て歩いたが、どれも表面的な「やさしさ」と機能ばかりを、これでもかこれでもかと盛り込んだだけの家だった。

 たとえば、家の中の壁という壁に手すりがつけられていたり、エレベーターが設置されていたりする。それぞれ、必要なものかもしれないが、ひじょうに機械的、事務的で痛々しい。たしかに、ある一定の機能は満たしているが、はたしてここに人が住んだときに、本当に住み心地がいいと言えるのだろうか。これは本当のバリアフリー住宅ではないと思った。

 私のように握力のない者にとって、手すりは無用の長物である。体の不自由なお年寄りや障害を持つ人は、それぞれのニーズが違う。そもそも誰にでも適応するバリアフリー住宅は存在しないはずである。
しかも、その人たちだけへの配慮では、バリアフリーにならない。既製のバリアフリー住宅には、ともに暮らす家族への配慮がまったくなされていなかった。

 病院や介護施設にあるようなエレべーターが家の中にあったら、それを目にするだけで家族には苦痛だろう。それでは家が介護の疲れを癒すためのくつろぐ空間ではなくなってしまう。かえって健康な人と体の不自由な人との間に感情のバリアを生んでしまう。そんなことになったら本末転倒ではないか。


(次回につづく)





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