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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

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第九章其の二




更新日:2011.10.12.
第九章 「苦難に克つということ」 其の二


■ 「なくしたものを勘定するな 下」

 この病気は治らない、とわかってはいるが、今日できたことが翌日にはできなくなる。そんな現実を前に、私も由子も、少なからずショックを受けたこともあった。

 若いころの私は、テニスやバスケット、ゴルフ、スキーと、あらゆるスポーツをこなしてきた。そして、どんなスポーツでもかなりの腕前になることができた。うまくいかないときはまず自分の欠点を徹底的に探り、それを矯正することによって克服できると確信していた。そんな経験を経て、私は常日頃、欠点は直すことができるものであり、自分の努力次第でたいていのことは達成できると信じてきた。

 ところが、細胞膜破壊という進行性の病だけは、どんなに努力をしても克服できるものではなかった。「欠点を克服して完璧を目指す」というのは、あくまでも健康であるときの論理でしかないことを思い知らされた。

 もちろん若かったころは、自分の意思にかかわらず確実に動かなくなる体に苛立ち、病気を憎んだことも一度や二度はある。しかし、私には泣いている暇などなかった。
――なくしたものを勘定するな、残っている機能を一二〇パーセント活用すれば、まだまだ社会参加もできる、金も稼げる――これが、首から上しか動かなくなった私が見つけた人生活性術である。


(次回につづく)





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