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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜 



第九章其の九




更新日:2012.3.7.
第九章 「苦難に克つということ」 其の九


■ 「親子関係は気合の勝負」

 わが家には笑いが絶えない。自分で言うのも何だが、家族のみんなが明るく、生き生きと暮らしている。
子どもたちは腕白ではあるが、素直にすくすくと育っている。由子は、子どもを生んでから変わった。子どもが生まれる前は大声を出したことなど一度もなかったが、哲朗と龍二が生まれてからは、私が驚くほどの大声で叱りつけることがある。

 私は、それでいいと思っている。親子の関係は、気合の勝負だと思う。子どもを叱るとき、親はここぞというところで、本気で、そして気力をこめて叱らなければならない。叱る側が中途半端な気持ちだと、相手に真意も愛情も伝わらない。
初めのうちは、どんな叱り方でも効き目があるだろう。だが、子どもは叱られることに慣れてくると、「怖い」という感情がなくなり、単なる小言として聞き流すようになる。親を恐れなくなるのだ。
本来、親とは、子どもにとって怖い存在でなければならないと私は思う。威厳を保つためには、こちらも気合を入れてかからないといけない。

 あるとき、堪忍袋の緒の切れた由子は、哲朗と龍二の手を引っ張って玄関へ連れていき、外に追い出してしまった。初めての経験に驚きと恐怖を抱いた二人は、「ごめんなさい。ごめんなさい、もうしません」と泣きながら謝っていた。
だが、そんなことが二度目、三度目となると、子どもたちにも知恵がついてくる。表に放り出されても平気らしく、暗くなっても帰ってくる様子がない。

「おい、由子、子どもたちどないしたんや。こんなに遅くなったのにまだ帰ってこないけど大丈夫かな」
心配になった私が言うと、由子は子どもたちを探しに出た。サンデッキから裏庭に下りていった由子が戻ってきて言った。
「ほんまに呆れたわ。あの子たち裏庭の下に“基地”を作ってキャンプごっこをしてる」

 私の家は南に向いた傾斜地に建っており、下のほうの土地は雑草だらけだが、一応わが家自慢の庭園ということになっている。哲朗と龍二は、家から追い出されたことなど忘れたかのように、懐中電灯を灯してキャンプ・ファイアーの真似事をしているというのだ。おまけにリュックの中には、トランプに水筒、着替えの服まで入っていたらしい。

 私たちは、子どもたちに気づかれないように大笑いした。


(次回につづく)





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