更新日:2008.5.28
「命の重み、大切さって何?」(後編)
「元気な男の子やねぇ」。
どこからか聞こえてきた助産師さんの声に
「それは僕の息子です!」と叫びたい衝動をおさえた。
しばらくすると分娩室の扉が開きストレッチャーに横たわった由子が、
続いて看護師さんに抱かれた長男が・・・。
妹に支えられ外で待っている僕の手の中にやさしく赤ちゃんが手渡された。
生まれたばかりのやわらかい感触、産着を通して伝わってくる温もり。
握力がほとんどない僕に、いとおしい、「いのち」の重みが、ずしんと伝わってきた。
きみたちも生まれてくるためには、数え切れないドラマがあったはずだ。
両親や祖父母はもちろん、たくさんの人の助けがあり、思いがあり、
幸運が重なり合って一つの命は誕生する。
きみという存在は世界中どこを探したって、きみしかいないんだ。
そして生まれたその日から、きみたちは巣立ちの準備を始める。
ときに激しく親に反抗し、社会に反発しながら、
自己責任と自己選択の厳しさを学んでゆく。
わが家でも長男哲朗19歳、次男龍二16歳、それぞれの道を探している。
ただ僕は、たった一度だけわが子を抱いた感触を今でも忘れない。
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