更新日:2007.6.6
第2話「首から上は生きている」(後編)
不動産業という生き馬の目を抜く世界に身を置いて、
大阪の道頓堀で土地を売ったり買ったり、
いわゆる斬った張ったのビジネスをやりながら、
この体からはどんどん機能が失われていきました。
けれども、持ち前のやんちゃな勝ち気が、
おとなしい患者でとどまることを許さなかったんです。
私はこのとき決めました。無くしたものを勘定するな、 残っている機能を120%活性化すれば、まだまだ生き残れる。
多少、体が動かないくらいで人間の尊厳なんて失われてたまるものか。
そして金も稼げる。私は経済的自立が一番大事だと、
しがみつくようにがむしゃらに働きました。
私は今年47歳を迎えます。
難病の発症から23年、この体からはいろいろな機能が失われていきましたが、
失えば失うほど多くのものを見つけてきたような気がします。
体の健康はもちろん大切ですが、
もっと大切なのは、「魂の健康」ではないでしょうか。
今日、生きていることが有り難いと感じられるような心の支えではないでしょうか。
(次回につづく)
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