更新日:2011.6.24
第二章 無保険の国『 アメリカ 』 其の五
■ 尻の毛までむしりとられる公的保険 下
それまではすべて自己負担で支払います。5000ドルというと、1ドル100円で換算して50万円です。総資産50万円というと、ぼくはもう人間存在の喪失だと思います。そこまではすべて自分で払えというわけです。ケツの毛まで抜ききって、文字どおりすってんてんになったら、そこではじめてメディケイドで救済してあげましょうというのがアメリカの公的保障なのです。日本の生活保護法とはまったく違います。
一方メディケアにしても、その支払いには限りがあります。メディケアは老人医療保険の補助のような存在ですから、たとえばナーシングホームのような施設に入った場合、た
とえメディケアに入っていても、ある段階のサービス供給を受けた後は個人で入っている民間保険で費用を請求されます。
メディケイドで7日、あとはプライベート保険で14日、というように全部のサービスが総量で計算されるシステムになっているのです。そしてプライベート保険の適用期間が過ぎると、現金で払うか、出ていくかという選択を迫られます。
日本人から見れば厳しすぎるシステムかもしれません。でもアメリカではこれに対して文句をいう人はいません。老いは国家の責任ではなく、あくまでも個人の問題だからです。
「老いと医療と介護はお金で買うものだ」という意識がアメリカにはしっかりと根づいているのです。
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