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春山 満の僕の元気 〜春山 満 コラム集〜

僕がみた世界のGood Time

第四章其の一
更新日:2011.8.19
第四章 在宅ホスピスの真実 其の一


簡単にいえば、在宅ホスピス会社とは、
「医者と坊主が結託して、患者を6ヶ月であの世に送るビジネス集団」ということになる。

■ ホスピスごっこ?

ホスピスという言葉は、最近日本でも多く耳にするようになりました。けれど、ぼくは日本にあるホスピスは、本当のホスピスだとは思っていません。あれは欧米諸国からみると、「ホスピスごっこ」じゃないのかなと、思います。

ただ単に、痛みをコントロールする。たとえば末期の癌の患者を、モルヒネなどの薬をつかってコントロールする。そういうものなのです。

ぼくはホスピスに非常に大きな関心があって、アメリカやヨーロッパにあるホスピスを数十ヶ所見てきました。そこで気がついたのは、ホスピスの役割としていちばん重要なのは、“死なせのプロ”であるということでした。

あるイギリスのホスピスのスタッフは、
「わたしたちは6ヶ月間できちんと死なせます」と、ぼくにはっきりいいました。
「わたしたちは、患者の心をケアしながら、死なせるためのプログラムをきちんと組み立てます。肉体的なケアよりも、むしろ精神的なケアを重視します。死ぬことは怖くないということを知らせるのです。もちろん痛みがあればそれを取り除きます。人生の最後に痛みから解放させてあげないと、人格を継続できないことがありますから」
こういうことを、あたりまえの価値観としていうのです。

日本ではどうでしょうか。日本では人生の最後、病院のべッドの上で、抗生剤やリンゲ ルで肉体をパンパンに膨らませて、痛みをどんどん提供して、医療のオモチャのようなか たちでお年寄りを死に追いやります。ぼくにはそれが、高度先進医療における限界への挑戦ゲームにしか見えません。

ホスピスとはもともと、末期患者のケアシステムのことをいいます。人間としての尊厳 を最後まで保たせたまま、積極的な医療介入を行わず、あくまでも痛みのコントロールだけで、穏やかに死を迎えさせてあげるシステムなのです。

このホスピス、アメリカでは約30年前から存在していました。現在は大きくわけて2つのホスピスの形態があり、ひとつはベッドなどの入院設備が完備された施設型のホスピス、 もうひとつは自宅で最期を迎えさせるために人を派遣する在宅ホスピスです。
そしていまアメリカでは、後者の在宅型のホスピスが、ニュービジネスとして爆発的に伸びているのです。





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